男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』の詳細

『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』は1976年に公開された日本の映画で、シリーズ第17作にあたります。本作では、寅次郎が夢の中の恐ろしい海の生物と向き合ったり、様々な人々との交流を通じて成長していく姿が描かれています。

あらすじ

寅次郎は旅先で見た夢が、アメリカの映画『ジョーズ』の世界であったことから始まります。この夢の中で彼は、おいちゃんやおばちゃん、満男たちが襲われる様子を見て、必死でサメに立ち向かおうとします。物語は彼が帰宅した後、満男の小学校入学を祝う騒動から始まります。

とらやに戻った寅次郎は、満男の入学祝いという喜びの中で軽い家族喧嘩を引き起こし、家を飛び出します。彼は上野駅前の焼き鳥屋で飲んでいる際、無銭飲食をしていた無宿の老人（演じるのは宇野重吉）を見かけ、思いやりから彼の支払いを肩代わりします。その後、二人で酒を酌み交わし、寅次郎は老人を自宅に連れ帰りますが、老人はとらやを宿屋と勘違いし、横柄な態度を示します。

この老人は、実は日本の著名な画家・池ノ内青観であり、寅次郎が紙に描かれた絵を古本屋に持って行くと、高額で買い取られることになります。しかし、青観はすでに自宅に帰ってしまっており、寅次郎は彼の名を知らずに冷たく扱ってしまったことを後悔します。満男との関係で起こったトラブルも含め、寅次郎は自らの不注意を省みることになります。

人間関係と成長

その後、寅次郎はまた青観と再会することになります。青観が龍野市で絵を描くために招かれ、宴席で美しい芸者ぼたん（太地喜和子）と運命的な出会いを果たします。しかし、ぼたんはその後、鬼頭という男に騙し取られた大金を取り戻すために寅次郎の協力を求めに来ます。この事態を受けて、寅次郎はぼたんのために鬼頭を成敗する決意を固めます。

鬼頭の存在が明らかになったことで、寅次郎はぼたんのために行動を起こしますが、彼は画家に新たな絵を描いてもらおうと考えます。しかし、青観は金を稼ぐために絵を描くわけではないと断り、二人の関係は一時的に立ち行かなくなります。寅次郎の思いが、青観の心に響くきっかけとなり、青観は後に寅次郎の真剣な眼差しに感動し、友好関係が築かれていきます。

数々のエピソード

寅次郎が自らの行動を通じて学んでいく姿を描いた本作では、愛と友情、喜びと悲しみといった様々な人間ドラマが描かれます。寅次郎とぼたんの関係も成長し、物語のクライマックスへ向けた展開が続く中、さまざまなキャストが生き生きとした演技で物語を彩ります。

最終的には、寅次郎が再びぼたんを訪ね、愛の告白をするシーンが感動的に描かれ、絵画を通じて彼女の心を確かめるものとなります。青観の描く絵もまた、彼女の宝物として昇華し、彼らの関係はより深まります。寅次郎はこの体験を通し、自らの人生における大切な絆や信頼、思いやりの大切さを学ぶのです。

この作品はシリーズの中でも特に心温まるエピソードとして知られ、多くのファンに愛されてきました。観客動員数は168万5000人を超え、興行的にも成功を収めることとなりました。

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