男はつらいよ 私の寅さん

男はつらいよ 私の寅さん

『男はつらいよ 私の寅さん』は1973年に公開された日本映画で、シリーズの12作目にあたります。同時上映は『大事件だよ全員集合!!』でした。この作品は、映画のレギュラーキャストである太宰久雄の誕生日に合わせて公開されました。

あらすじ

映画は、寅次郎が夢の中で明治時代の柴又村にいるところから始まります。この村で、彼はさくらや家族が悪徳商人に困らされている様子を目にし、「謀反人の車寅次郎」として助けに入ります。物語の本筋では、寅次郎が旅から帰ってくると、家族は九州旅行に出かける準備を進めていることに気づきます。家族は彼を気遣って旅行の計画を伝えられずにいましたが、御前様からのお土産がきっかけで事実を知った寅次郎は寂しさを募らせます。

さくらは、旅行の趣旨が叔父叔母への感謝であり、本来は寅次郎もその一員であったのだと説明し、彼の心を理解させようとします。寅次郎は最終的にその意味を理解し、家族は予定通りに旅行へと出発します。

旅の後、家族は大分から熊本の観光名所を巡り、楽しい時を過ごすも、様々な場面で寅次郎のことを思い出してしまいます。留守番をする寅次郎は、寂しさを感じて過ごし、やがて彼のもとに家族から電話がかかりますが、その際の寅次郎の様子はとても寂しそうでした。家族は旅行を早めに切り上げ、寅次郎に会いに帰ることにします。しかし、帰宅した際には、寅次郎が温かく迎え入れてくれたことに心を打たれるのです。

次に物語は、寅次郎が近所の評判が良くなったものの、それによってさくらが感じている少しの寂しさに移ります。そんな矢先、彼は小学校の友人であり放送作家の柳文彦と再会し、彼の妹のりつ子とも初対面を果たします。しかし、二人の初対面は言い争いから始まります。

その後、寅次郎は文彦の仲介でりつ子と和解し、彼女に惹かれていきます。りつ子は自身の画家としての生活や家族について思い悩みながら、寅次郎との関係を進展させていくものの、感情的なすれ違いがあったりします。

りつ子が心を寄せていた三田という画家の結婚話を知って、寅次郎は彼女を見舞い、自己の恋愛感情に気がつかないりつ子に対し心を痛めますが、進展がありつつも複雑な状況が続きます。

最終的に、寅次郎はりつ子のために自分の気持ちを抑え、彼女が絵を描くことの邪魔をしないように身を引くことを決意します。家族との繋がりや友情を振り返りながら、彼は新たな旅に出かけることになります。

エピソード

本作は、寅次郎の旅に対する考え方が明確となる重要な作品でもあります。普段とは逆に、家族が旅行に出かけ、寅次郎が留守を守るという新たな展開が描かれており、その際のタコ社長のコミカルな姿を見ることができます。寅次郎の同級生である文彦も登場し、彼との関係も前作からの変化が見られます。また、りつ子の愛称やさくらのかつてのエピソードも作品に散りばめられています。

音楽

映画の中では、さまざまなクラシック音楽が使用されており、特にヘンデル作曲の『水上の音楽』やショパンの作品が印象的に流れます。これにより、作品の雰囲気がさらに引き立てられています。

スタッフ

• - 監督：山田洋次
• - 脚本：山田洋次、朝間義隆
• - 音楽：山本直純

キャスト

• - 車寅次郎：渥美清
• - さくら：倍賞千恵子
• - 柳りつ子：岸恵子

観客に愛され続けるこの作品は、友情や愛情、家族の絆を描いた感動の物語として今なお輝き続けています。

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