男はつらいよ 私の寅さん

あらすじ

『男はつらいよ 私の寅さん』は、1973年公開のシリーズ第12作です。冒頭の夢の中では、時代劇風の柴又を舞台に、寅さんが悪徳商人から人々を救い出すという奇想天外な展開が繰り広げられます。

旅から帰った寅さんは、とらや一家が九州旅行に出かけることを知ります。自分を置いて旅行に行くことに拗ねる寅さんでしたが、さくらに諭され、家族の愛情を理解します。しかし、旅行中のとらや一家は、寅さんのことを気にかけていました。そこで、予定を切り上げて帰宅することになります。


すっかり落ち着いた寅さんは、小学校時代の親友・柳文彦との再会をきっかけに、文彦の妹で画家のりつ子と出会います。初対面から激しく言い争う二人でしたが、次第に寅さんはりつ子に惹かれていきます。りつ子も寅さんの優しさに触れ、心を開き始めます。しかし、りつ子は過去の失恋から立ち直れずにいました。


寅さんは、りつ子の失恋を知り、自分が彼女に恋していることを自覚します。しかし、その気持ちが彼女の負担になっていることに気づき、身を引くことを決意し、再び旅に出ます。りつ子は寅さんの旅立ちを寂しく思い、寅さんのことを「私の寅さん」と呼ぶ手紙を送るのでした。

エピソード

本作では、寅さんが冬は暖かい場所へ、夏は涼しい場所へと旅するスタイルが明確に描かれています。また、とらや一家が旅行に行き、寅さんが留守番をするという珍しいシーンも印象的です。留守番中の寅さんの寂しげな姿や、タコ社長のエプロン姿も必見です。

おばちゃんが「箱根より西に行くのは初めて」と言うセリフがありますが、過去作では三重県にも行っています。また、寅さんの同級生・柳文彦は、後の作品にも登場しますが、本作とは性格や寅さんとの関係性が異なっています。

本作では、登場人物のあだ名にも注目です。りつ子は「キリギリス」、さくらは「らっきょう」と呼ばれています。また、りつ子に恋した寅さんのことを、りつ子は「カバ」や「熊さん」と呼ぶ場面も登場します。

特典映像では、本編では使われなかったシーンやセリフが使用されており、ファンには見逃せない内容となっています。

使用されたクラシック音楽

本作では、ヘンデル、チェルニー、ショパン、シューベルトなど、様々なクラシック音楽が効果的に使用されています。これらの音楽が、物語の場面をより一層引き立てています。

スタッフ

監督は山田洋次、脚本は山田洋次と朝間義隆が担当しました。音楽は山本直純が担当しました。

キャスト

渥美清が車寅次郎、倍賞千恵子がさくらを演じました。りつ子役には岸惠子が起用され、前田吟、松村達雄、三崎千恵子、笠智衆、佐藤蛾次郎、太宰久雄など、おなじみのメンバーも出演しています。また、前田武彦が寅さんの同級生・柳文彦役で出演しています。

ロケ地

ロケ地は、大分県、熊本県、東京都、神奈川県など、様々な場所で行われました。九州の美しい風景や、下町の情緒が、映画の魅力を引き立てています。

記録

観客動員数は241万9000人、配給収入は10億4000万円を記録し、シリーズ歴代1位となりました。上映時間は107分です。

参考文献

佐藤利明『みんなの寅さん』が参考資料として挙げられます。

外部リンク

公式ウェブサイトや、allcinema、KINENOTEなどの映画情報サイトへのリンクが提供されています。

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