松村達雄

松村達雄について

松村達雄（まつむら たつお、1914年12月18日 - 2005年6月18日）は、日本の著名な俳優であり、東京俳優生活協同組合に所属していました。彼は大学時代にラグビー選手としても活動し、舞台劇団を立ち上げ、演技の世界へと進出しました。

しかし劇団解散後、松村は映画やテレビドラマに多く出演し、印象的な声と独自の演技スタイルによって「リアルで深みのある演技」が高く評価されました。特にクールなインテリ役で定評があり、個性的なバイプレイヤーとしての地位を確立しました。映画『男はつらいよ』シリーズでは、2代目おいちゃん役を演じ、国民的人気を誇りました。

来歴

神奈川県横浜市に生まれた松村達雄は、父がコロムビアレコードの取締役文芸部長という家庭に育ちました。大森区立山王小学校、暁星中学校を経た後、1932年に法政大学予科に入学。その後、日本大学専門部芸術科に転学し、再び法政大学に戻って経済学を学んでいます。大学時代にはラグビー部で左ウィングとして活躍しました。卒業後、同人劇団を結成し、その後新協劇団の研究生として学びましたが、1942年には軍に召集され、戦地での経験が彼の演技に深い影響を与えました。

1946年に復員した彼は、1952年に高円寺で劇団五十人劇場を設立します。ここではモリエールや武者小路実篤の作品を上演し、一時は成功を収めましたが、経済的な苦境から1957年に劇団は解散に追い込まれました。

映画とテレビ

劇団解散後、松村は映画とテレビドラマの世界に進出します。1960年代から1970年代にかけて、彼は『ダイヤル110番』や『雑草の歌』など多くの人気番組に出演し、その自然な演技が視聴者から支持されました。また、映画『乙女の祈り』での初出演以降、彼は多くの名監督の作品に出演。特に黒澤明監督の『どですかでん』では深い演技を見せています。

1972年には『男はつらいよ』シリーズに参加し、森川信の後を受け継ぎ、2代目のおいちゃん役を務めます。この役はその後も続編に登場し、松村の名はさらに広まることとなりました。

受賞と評価

松村はその演技力が評価され、1993年には映画『まあだだよ』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞します。また、1990年には勲四等瑞宝章を受章し、2006年に没後に会長特別賞を受けるなど、彼の功績は後世に語り継がれています。

彼の声質は本田宗一郎に似ていたため、テレビ番組でも声優としての活動を行い、特に1999年から2005年にはNHKの『どーもくん』にてうさじい役を務めました。

最晩年

松村達雄は2005年に間質性肺炎で入院し、その後心不全により逝去しました。彼の最期の仕事は映画『解夏』における役どころであり、彼の人生を閉じる瞬間まで芸術に情熱を捧げていました。お別れの会には225人が参列し、多くの人々に愛された俳優としての彼の存在が改めて認識される一時でした。

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