男嫌い (1963年のテレビドラマ)

テレビドラマ『男嫌い』：社会現象を巻き起こした女性たちの物語

1963年4月16日から1964年4月7日まで、日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ『男嫌い』。全52話という長編作品で、いすゞ自動車の一社提供によって制作されました。このドラマは、1961年8月20日に同局の単発ドラマ枠『東レサンデーステージ』で放送された同名作品を連続ドラマ化したものです。

『男嫌い』は、四姉妹と、彼女たちの弟である末っ子を中心とした家族の物語です。しかし、単なる家族ドラマにとどまらず、女性たちが男性社会や男性像に対して抱く複雑な感情や鋭い批判が、ユーモラスかつ痛烈に描かれていました。

特に注目すべきは、劇中で登場人物たちが使用した言葉の数々です。「カモね」「そのようョ」「まあね」「ムシる」「カワイ子ちゃん」といった独特のフレーズは、たちまち社会現象となり、流行語として人々の間で広く使われるようになりました。これらの言葉は、ドラマの独特な雰囲気やキャラクター性を象徴するものであり、『男嫌い』の人気を不動のものにした要因の一つと言えるでしょう。

ドラマの大きな特徴として、数多くの男性有名俳優がゲスト出演していた点が挙げられます。彼らは、ストーリーの中で「ムシられる」役として登場し、四姉妹たちとのコミカルで時にシリアスなやり取りを繰り広げました。これらの豪華なゲスト出演陣も、視聴者の高い関心を集め、ドラマの人気をさらに高めることに貢献しました。

放送時間は、当初は火曜21時45分から22時15分でしたが、1963年10月からは15分繰り上がって21時30分から22時00分となりました。これは、他の番組との枠交換による変更です。

主な出演者には、四姉妹役として越路吹雪、淡路恵子、岸田今日子、横山道代といった当時を代表する女優陣に加え、坂本九、三津田健、夏川静枝、谷啓、杉浦直樹、益田喜頓、植木等、森雅之、ジェリー藤尾、中尾ミヱ、田代信子、仲谷昇、名古屋章など、多彩な俳優陣が名を連ねています。特に、越路吹雪、淡路恵子、岸田今日子、横山の4名は、『東レサンデーステージ』版にも出演していたことから、このドラマシリーズにおける重要な存在であったことがわかります。

スタッフ陣も豪華な顔ぶれでした。脚本には八木柊一郎、福田陽一郎、西島大、演出には福田陽一郎、音楽には山本直純といった実力者が参加しています。

『男嫌い』は、単発ドラマから連続ドラマへの発展、流行語の誕生、数々のスター俳優の参加、そして高い視聴率という成功を収めました。社会現象を巻き起こしたこのドラマは、日本のテレビドラマ史において重要な位置を占める作品と言えます。1964年には、このドラマを原作とした映画版『男嫌い』（監督：木下亮、東宝）も製作され、さらにその人気を不動のものとしました。また、1994年にはTBS系列でリメイク版が放送されるなど、時を超えて愛され続ける作品となっています。

各話のサブタイトルを見るだけでも、その多様なエピソードと、男性像に対するユーモラスな皮肉が伝わってきます。例えば「なぐって、なでろ!」、「未亡人ごっこ」、「女は蜘蛛だ」、「結婚は愚事」といったタイトルは、当時としてはかなり大胆な内容であったことを示唆しており、現代においても新鮮な驚きを与えてくれます。

『男嫌い』は、単なるエンターテイメント作品を超え、当時の社会風俗や女性の意識を映し出す鏡のような役割を果たしたと言えるでしょう。その影響は、後世のテレビドラマや社会風潮にも及んでいると言えるのではないでしょうか。

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