男鹿地震

男鹿地震の概要

男鹿地震（おがじしん）は、1939年5月1日に男鹿半島付近で発生した地震です。この地震は、震度5という強い地震が2回連続して起こったことから「双子地震」とも呼ばれています。初めの地震は14時58分にMj 6.8の規模で発生し、その約2分後にMj 6.7の地震が続きました。また、この大きな揺れの後には、約10時間後にMj 6.5の余震も観測されています。

地震のメカニズム

当時の研究によると、男鹿地震の震源は比較的浅く、地域の地殻内で発生したものであると考えられています。第一震の初動分析からは、東西に圧縮する力が働く南北走向の逆断層型であることが特定されました。男鹿半島の先端付近では、最大で44cmの隆起が観測され、そこから東へ行くにつれて隆起量が減少しました。このことから、地震が発生した断層は東傾斜であると考えられています。地震によって約30kmの長さ、15kmの幅を持つ断層が活動したと推測されています。

地震動

男鹿地震の震度分布では、秋田県内で最大震度の5が観測され、特に秋田市や北秋田郡鷹巣町で強い揺れが感じられました。さらに、北海道から関東地方にかけて震度1以上の揺れが確認されています。

震害

地震の直接的な被害は非常に深刻で、第一震・第二震によって男鹿半島内の集落では多くの人的被害と家屋被害が発生しました。地震により、27人が命を落とし、52人が負傷しました。家屋については479戸が完全に倒壊し、858戸が部分的に損壊しました。特に、船川港町と五里合村では被害が特にひどく、全潰率が60%以上に達する地域も見られました。

さらに、秋田市内では薬局が全焼するなど、火災も多発しましたが、人的被害は比較的に少なかったとされています。これは、発震時刻が午後3時であり、農村では住民が屋外で働いていたため、被害が軽微であったと推測されています。加えて、74箇所の溜め池や水路が損壊したことで、150町歩以上の水田への影響が見られました。

土砂災害

男鹿半島の各地でも土砂災害が発生し、特に北浦町、船川港町、五里合村の海岸線では大規模な地すべりが報告されています。この地すべりにより、交通路が寸断され復旧作業が困難になる事態が発生しました。

津波

地震による津波被害の記録はありませんが、鰺ヶ沢、能代、土崎、酒田では津波が観測され、男鹿半島の周囲での波源域が特定されています。

歴史的背景

男鹿地震の約129年前の1810年には、同地域でM6.5程度の地震（羽後地震）が発生し、死者60人・住家全潰が1,000戸を超える被害が出ていました。このように、男鹿半島は、地震のリスクを抱えた地域であることが分かります。

このような歴史と背景を踏まえ、今後の防災対策がもっと重要になることでしょう。当時の自然災害伝承碑や震災復興碑は、地域住民の災害への認識を深めるための大切な役割を果たしています。

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