町区

イングランドの町区（タウンシップ）について

イングランドにおける町区、またはタウンシップと呼ばれるのは、小教区（パリッシュ）の下位単位として設けられた区域を指します。これらの町区は、村や小規模な町を含み、通常は地域の教会が存在することが特徴です。元々は歴史的な行政区域として使用されており、「町分区」や「町分教区」といった用語でも表現されることがあります。

町区の定義と特徴

町区の範囲は時にチャペルリー（礼拝堂）が存在する地域、あるいはマナーやその他の小規模な行政区画と一致することもありますが、必ずしもそうとは限りません。また、町区は村区やチャペルリー、タイジングといった他の行政単位とは異なる概念です。村区は主に農村コミュニティに関連し、チャペルリーは教会の機能が限定された小教区に準じる範域を指します。一方、タイジングは中世の十人組制度における基本的な単位です。

このように、町区は地域の歴史や文化に深く根ざした概念であり、特に北イングランドでは運営上の理由から小教区内に設けられることが多いとされています。地域によっては、一つの町区が複数の小教区にまたがることもあります。たとえば、ヨーク近郊のヒワース町区には3つの小教区が含まれています。

歴史的背景

イングランドの行政上の基本的な単位は小教区ですが、その運営が困難な場合には小教区をさらに細かく分割して町区を設けることが行われました。特に北イングランドでは、シェフィールドのような地域で、一つの小教区には複数の町区が設定されることが一般的でした。シェフィールドは単一の小教区から成っていましたが、実際には6つの町区が存在していました。また、ランカシャー州のウォーリーでは、1つの小教区に47の町区が含まれることもあり、その広さは43,000ヘクタールを超えます。

地域によっては、小教区の違った部分が異なる行政区域に属することもよく見られました。このように、町区は歴史的に多様な行政的機能を果たしてきました。例えば、ドロシー・シルヴェスターはイングランドとウェールズを北と南に分ける「パリッシュ・ライン」を設け、小教区の大小を示す公的な基準を示しました。

現代における町区の役割

近年、タウンシップという表現は再び使用されるようになり、北イングランドの行政区画の一部として位置づけられています。たとえば、ロッチデールでは地域委員会の一環としてタウンシップ・コミッティーが設置され、ウィガンでは10のタウンシップに分けられる地域が設定されています。これにより、地域自治が進められ、住民の声が反映される仕組みが整えられています。

シェフィールドでも、モスバラという選挙区があり、地域の異なる地区から構成されています。この地域は通称「モスバラ・タウンシップ」として知られていますが、これが行政的に正式に認められた名称ではありません。

また、シュロップシャー州には、かつて存在した中世の町区を今に伝える地名が残っており、ヘレフォードシャー州ではブロムヤード周辺に現在も町区の名称が使われています。これにより、町区は地域の歴史や文化を体現する存在であり続けています。町区の名称や構造は、地域社会の変遷をのぞかせ、行政区画の理解を深める手がかりとなっています。

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