町田英夫

町田 英夫（まちだ ひでお）氏は、1942年（昭和17年）3月29日に埼玉県で生まれた日本の政治家です。

経歴

埼玉県立杉戸農業高等学校を卒業後、久喜町（現在の久喜市）の役場に奉職しました。久喜市役所では水道部長などの要職を歴任し、行政の実務経験を積みました。

幸手市長として

行政官としての経験を積んだ後、2003年に政治の世界に転じ、埼玉県幸手市の市長選挙に立候補しました。

当時の幸手市は、増田実市長のもと、茨城県五霞町との県境を越えた合併を目指していました。しかし、市内には五霞町よりも埼玉県内の久喜市や鷲宮町との合併を望む声が強く、市議会でも県内合併を優先する決議が採択されるなど、市民や議会の間には県内合併への志向が高まっていました。こうした状況の中、県内合併を求める市民団体から増田市長に対する解職請求（リコール）が提出され、住民投票実施を前に増田氏は市長を辞任する事態となりました。

この混乱の中で行われた出直し市長選挙において、県内での市町合併を望む市民からの要請を受けた町田氏が立候補しました。選挙の結果、町田氏は当選を果たし、幸手市の舵取りを任されることになります。これにより、増田前市政が進めていた茨城県五霞町との合併構想は白紙撤回されました。

市長に就任した町田氏は、幸手市を埼玉県内の市町村と合併させる方針へと転換し、久喜市、鷲宮町との合併協議会に参加することとなりました。翌2004年、3市町の合併協議会は、合併後の新しい市名を「桜宮市」とすることで合意しました。しかし、この市名案に対して久喜市側から強い反発が起こります。最終的に、合併の是非を問う住民投票が実施されました。結果として、幸手市では合併賛成票が多数を占めたものの、久喜市では反対票が上回り、久喜市の意向を受けて3市町の合併協議は頓挫、白紙となってしまいました。

2007年の幸手市長選挙において、町田氏は増田前市長らを破って再選され、2期目を迎えることとなりました。

2期目に入った2007年暮れ、幸手市は再び広域合併の可能性を探り、今度は久喜市、鷲宮町、栗橋町、そして南埼玉郡菖蒲町を加えた1市3町との合併協議会に参加する意向を示しました。しかし、この協議会への参加には幸手市議会の承認が必要とされました。当時の合併特例法の期限が2010年3月に迫っており、市議会の承認手続きを含め、合併に向けた一連の手続きを期限内に完了させることが困難であると判断した幸手市は、協議会への参加を断念しました。これにより、幸手市は他のどの自治体とも合併せず、単独で存続していく方針を決定することになりました。

町田氏は、続く2011年の市長選挙にも立候補しましたが、この選挙では元幸手市議の渡辺邦夫氏に敗れ、市長の座を退きました。2期にわたる市長在任期間中、町田氏は幸手市の将来を左右する合併問題を巡る複雑な政局の中で、市の針路を定める重要な判断を下し続けました。

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