町田重備

町田重備（まちだ しげとも、1861年9月15日-1922年2月12日）は、明治から大正時代にかけて活躍した日本の逓信官僚です。そのキャリアは、軍への志望から始まり、その後、文官として華々しい経歴を歩むという、特異なものでした。

町田は東京府に横瀬貞幹の次男として生まれましたが、後に町田きくの養子となりました。若き日の町田は軍人になることを志し、陸軍士官学校に入学します。しかし、病気のため、志半ばで退学を余儀なくされました。

挫折を経験した町田は、その後、新たな道を歩むことを決意します。1883年、東京外国語学校仏語簡易科（現在の東京外国語大学）を卒業すると、帝国大学書記の職に就きます。その後、帝国大学法科大学に進学し、1888年に卒業。法曹界への道を歩むこともできたはずですが、町田の進む道は、官僚への道を歩むことになります。

卒業後は枢密院雇としてキャリアをスタートさせ、法制局参事官試補、衆議院書記官を歴任しました。これらの経験は、後の逓信省での活躍の礎となりました。1895年、ついに町田は逓信書記官に任命され、逓信省でのキャリアが本格的に始まります。

逓信省では、要職を歴任しました。まず、京都郵便電信局長に就任し、その後、神戸郵便電信局長、大阪郵便局長と、主要都市の郵便電信局長を歴任し、地方行政における重要な役割を果たしました。これらの経験を通して、日本の通信インフラ整備に大きく貢献したことは間違いありません。そして、そのキャリアの頂点として、逓信省経理局長に就任します。

1913年、長年の功績により、町田は逓信省を退官しました。しかし、その功績は高く評価され、1915年には錦鶏間祗候を仰せ付けられました。これは、宮中における名誉職であり、町田のこれまでの功績が朝廷によって認められたことを示しています。

町田重備の生涯は、挫折を乗り越え、自身の能力を最大限に発揮して、日本の近代化に貢献した、波乱に満ちたものでした。陸軍士官学校からの転身、そして逓信省における数々の要職歴任は、彼の柔軟な適応力と卓越した能力を示すものであり、日本の近代化に貢献した重要な人物として、その名は歴史に刻まれています。彼の功績は、現代の日本の通信インフラの礎を築いたと言えるでしょう。

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