畑尻剛

畑尻 剛（はたじり つよし、1950年8月30日 - 2023年1月20日）は、日本の憲法学を専門とする研究者。長年にわたり大学で教鞭を執り、中央大学名誉教授の称号を授与された。和歌山県田辺市に生まれ、憲法学を川添利幸氏に師事した。

略歴

畑尻氏は、1969年3月に東京都立竹早高等学校を卒業した。その後、中央大学法学部法律学科に進み、1975年3月に卒業。さらに同大学院法学研究科博士後期課程に進学し、1982年3月に単位を取得して満期退学した。

大学院退学後、1982年4月からは中央大学法学部通信教育課程のインストラクターを務めるとともに、埼玉大学教養学部および中京法律専門学校で兼任講師として教壇に立った。1984年4月には城西大学経済学部に専任講師として着任し、研究・教育活動の場を移す。同大学では1986年4月に助教授、1995年4月には教授へと昇任し、長期にわたり経済学部で法学教育を担当した。

2004年4月、母校である中央大学の法学部教授に就任。翌2005年4月からは、中央大学大学院法務研究科教授も兼任し、法科大学院での教育にも携わった（こちらは2013年3月まで）。研究活動においては国際交流も行い、2014年4月から5月にかけては、ドイツのミュンスター大学法学部で客員教授を務めた。2021年3月、中央大学法学部にて定年を迎え、その後名誉教授となった。2023年1月20日に逝去、享年72歳。

大学での教育・研究活動を通じて、憲法学の発展に貢献し、多くの著作を残した。特に憲法裁判に関する研究に精力的に取り組み、国内外の憲法理論や判例研究を行った。

主要著書

以下に主要な著書を記す（共著、編者、翻訳を含む）。

『法学』（共著、尚学社、1983年）
『憲法裁判研究序説』（単著、尚学社、1988年）
『憲法裁判の国際的発展―日独共同研究シンポジウム』（共著、信山社、2004年）
『プロセス演習 憲法』（棟居快行他多数と共著、信山社、2004年）
『憲法の規範力と憲法裁判』（共著、信山社、2013年）
『憲法〔第5版〕』（共著、信山社、2014年）
『判例から考える憲法』（共著、法学書院、2014年）
『国家と憲法の正当化について』（翻訳、中央大学出版部、2017年）
『多元主義における憲法裁判』（共著、中央大学出版部、2017年）
『基本権・環境法・国際法』（編者、中央大学出版部、2017年）
『ドイツの憲法判例Ⅳ』（共著、信山社、2018年）
『ペーター・ヘーベルレの憲法論』（単著、中央大学出版部、2021年）
『Inzidente und konzentrierte Verfassungsgerichtsbarkeit』（単著、中央大学出版部、2022年）
『花の紀三井寺 : 畑尻保句集』（責任刊行、私家版、2023年）

憲法学者として、日本の憲法学界に多大な功績を残した。

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