畔上賢造

畔上賢造について

畔上賢造（あぜがみ けんぞう、1884年10月28日 - 1938年6月25日）は、広く知られるキリスト教独立伝道者であり、無教会派の内村鑑三の門下生として多くの活動を行いました。長野県上田市に生まれた彼は、初期の教育を受けた後、1902年に旧制上田中学を卒業し、早稲田大学に進むことになります。1904年には内村鑑三の指導を仰ぎながら、心の中で信仰を深めていきました。

1906年には早稲田大学文学部哲学科を卒業し、その後英語教育に従事しながらも、次第に自身の信仰的な道を見出していきました。千葉県立千葉中学校で英語を教える職に就いた彼は、1909年に内村の同窓である成沢むつと結婚。家庭を持ちながら、ずっと信仰に根ざした生活を大切にしました。

1911年からは千葉県東金町に拠点を置き、農村での独立伝道を始めることになります。彼の活動の場は、単なる宗教的な集まりを越え、農村社会の中で人々の生活に密着したものでした。また、彼は執筆や出版にも力を入れ、当時の思想や文化に影響を与える著作を残していきます。1914年には長男の道雄が誕生し、信仰の道を歩む中、家庭の大切さを一層認識していったことでしょう。

1919年には東京都に移り、内村鑑三の助手として『聖書之研究』誌に関わることとなります。彼の活動は単なる宗教的な枠を超えて、地域社会や教育にまで広がりを見せました。1927年からは家庭集会を開き、1928年にはこの集会が「上落合聖書研究会」と名付けられ、毎週日曜日に行われることとなりました。こうした取り組みは、信仰のコミュニティを形成する重要な基盤となりました。

1930年には月刊誌『日本聖書雑誌』を創刊し、自らの信仰や思想をより広い範囲で発信しようと努力しましたが、1937年に第96号で終刊。1931年には中央聖書研究会と称し、丸ビルで日曜集会を開催するなど、彼の影響は都市部にも広がりました。

畔上の著作や訳書は多岐にわたります。彼は英文学を取り入れ、翻訳や解説を通じて日本に紹介しました。主な著作には、1905年の『リンコーン言行録』や1906年の『自助論』、さらには1914年の『平民詩人』などがあります。また、彼の文献は信仰に密接に結びついたもので、多くの人々が信仰を得るきっかけとなりました。

さらに、彼の晩年には「畔上賢造著作集」が全12巻にわたって出版され、旧約研究やイエス伝研究など、信仰を深めるための重要な資料が提供されました。1948年には『ブラウニング - 愛の詩人』、1949年には『基督教読本』といった作品も世に送り出し、彼の信念や教えは今もなお多くの人々に受け継がれています。

1938年に物故した畔上賢造の存在は、無教会主義の流れの中で特に重要な位置を占めています。彼の生涯を振り返ることで、信仰のあり方や文化への影響を再確認し、今日の宗教的な多様性の意義を考えるきっかけになるでしょう。

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