留学生10万人計画

留学生10万人計画について

留学生10万人計画は、1983年に中曽根康弘首相のもとで提唱された、日本への留学生受け入れ拡大に関する政策です。この計画は、日本の留学生受け入れを当時の1万人余りから、21世紀初頭までに10万人規模にまで引き上げることを目指しています。

政策の背景と目的

この政策の発端は、1983年5月に中曽根首相が公平な外交の構築を目指しASEAN諸国を歴訪した際、シンガポールで元留学生たちから投げかけられた言葉にありました。彼らは、自分の子どもを日本に留学させたくないと主張しました。この反響は、日本の国際的な位置づけを見直すきっかけとなり、将来的に日本を理解し親しむ人材を育成する必要性が強く認識されることとなりました。

当時の日本は、先進国の中でも留学生の受け入れ数が非常に少なく、特にフランスに比べても大きな差がありました。そこで、政府は新しい方針として、2020年までに留学生を10万人受け入れることを目指す政策を策定しました。1984年には、文部省が見解をまとめた報告書が発表され、政策の具体的な骨子が定まりました。

実施計画と展開

計画の前期は、日本の18歳人口がピークを迎える1992年までの期間を想定して、受入態勢の整備や基盤の構築を進めることが重要視されました。その後、1993年からは具体的な留学生受け入れの増加が本格化する見込みでした。この計画では、国費留学生の割合は全体の約10%に設定され、様々な大学で受け入れ態勢を整える必要がありました。

具体的には、国内外での日本語教育の推進や、留学生用の宿舎の確保など多角的な施策が求められました。1992年には、中間目標の4万人を上回る48,561人の留学生が実際に受け入れられ、その後1995年には53,847人のピークを迎えました。ただし、その後の日本経済のバブル崩壊により、留学生の就業環境が悪化し、留学生数は減少に転じました。

中国からの留学生の急増

2000年代にはいると、特に中国を中心にアジア地域からの留学生が急増し、日本の留学生総数は大きな変動を見せました。2003年には留学生数が109,508人に達し、当初の目標は見事に達成されました。これにより日本は国際的な学生の受け入れにおいて新たな地位を構築することに成功しました。

結論

留学生10万人計画は、国際的な人材育成を目的にした戦略的な政策であり、日本と外国との相互理解を深める重要な役割を果たしてきました。政策の推進は、国際的な留学環境を整え、日本の未来を築くための基盤となることが期待されています。

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