留袖

留袖（とめそで）とは

留袖は、女性が着用する着物の一種で、比較的短い袖が特徴です。特に既婚女性にとっては、最も格式の高い礼装として知られています。留袖には大きく分けて「黒留袖」と「色留袖」という2種類があります。

留袖の特徴

留袖の袖丈は一般に鯨尺1尺3寸（約49cm）から1尺6寸5分（約62.5cm）程度であり、江戸中期の伝統を反映した形状となっています。近世初期には振袖や留袖が存在していましたが、現代のスタイルとは異なり、振袖は脇の開いたデザインだったため「脇明」と呼ばれ、留袖は袖が身体に縫い付けられたスタイルで「脇塞」として知られていました。

現代の留袖の原型は、江戸時代の化政文化期に流行した「江戸褄」と呼ばれるデザインから来ています。この着物は下半身にのみ模様が入る独特のスタイルで、年齢に応じて模様の高さを調整することが一般的でした。昭和に入ると、模様の配置が斜めになり、より洗練された印象となりました。

留袖はもともと婚礼の振袖を短く仕立て直したものであり、江戸後期には黒地縮緬に五つの紋が入った振袖が流行しました。明治以降、西洋のフォーマルな服装から影響を受け、留袖は黒色が正式な礼装となりました。また、昭和期には黒引き振袖が主流となり、戦時中は華やかな婚礼衣装が廃れ、留袖がより一般的に用いられるようになりました。

装飾と取り合わせ

黒留袖は、かつては白羽二重や白一越縮緬の下着と一緒に着用され、丸帯が合わせられていました。1960年頃からは下着の代わりに見た目を重視した比翼仕立てが人気となり、帯も丸帯からよりシンプルな袋帯へと変化しました。1980年代以降は、袋帯が主流となり、夏用に絽の素材も用いられています。

留袖の種類

黒留袖

黒留袖は、地色が黒である着物で、濱縮緬や丹後縮緬などの地模様のない生地が用いられ、裾に模様が施されています。この留袖は五つの紋が入り、主に結婚式や披露宴において既婚女性の礼装として着用されます。

色留袖

黒以外の色を持つ留袖は色留袖と呼ばれ、地模様がない縮緬だけでなく、地模様が織り出された生地や様々な素材が使われることがあります。伝統的には既婚女性用ですが、近年では未婚女性も着用するケースが増えています。また、宮中では黒は喪の色とされるため、色留袖が公式の礼装として着用されます。

結論

留袖は日本の伝統的な女性の礼装の一つで、地域や時代によって様々な変化を遂げています。既婚者にとっての特別な装いであり、結婚式や披露宴をはじめとする多くの正式な場での着用が一般的です。そのため、留袖の理解と選び方は、現代文化を考慮した上で大切な要素といえるでしょう。

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