番町

番町（ばんちょう）

概要

番町は東京都千代田区西部に位置し、一番町から六番町までの六つの町を含む地域を指します。このエリアは歴史的にも重要な場所であり、皇居の西側に広がる高級住宅街として知られています。南には新宿通り、北には靖国通りが延びており、東端は半蔵濠に、そして西端はJR東日本の中央線が走る旧江戸城の外濠が広がっています。

この地域は、かつては大邸宅が並んでいましたが、現在では多くの大邸宅が姿を消し、広い敷地にはマンションやオフィスビルが建ち並んでいます。特に二番町には大手流通グループ、セブン&アイホールディングスの本社が存在しています。ただし、千代田区による高さ制限があるため、高層ビルは見られません。

また、番町は教育面でも評価が高く、多くの著名な学校が存在する文教地区でもあります。周囲には商店街は少なく、静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。

歴史

番町の名称は江戸時代の「大番組」に由来しており、将軍の警護を行った武士たちの住所がこの地域にあったことが背景にあります。江戸時代の大番組は、一組から六組に分かれており、これが現代の番町の町名に引き継がれています。しかし、現在の町目と江戸時代の組番号は一致していません。

江戸時代には、沿道に長屋形式で旗本屋敷が立ち並び、その配置が区画の基準となりました。千鳥ヶ淵と江戸城の内堀に面したこの地域では、南北や東西に走る主要な通りを基準に町名が設定されました。ただし、五番町は特異な構成を持っており、他の町と異なる面積や位置関係があります。

近代になってから、番町の区画は何度も改編されました。1873年には、一部が富士見町として独立し、1933年には新しく九段の町名が定められました。関東大震災後の復興によっても、番町の形態は大きく変わりました。このため、近代の文学や記録においては町名の歴史的変遷に注意が必要です。

さらに、江戸時代の番町は「番町皿屋敷」や「吉田御殿」といった怪談の舞台としても知られ、無人の古い旗本屋敷が並ぶ神秘的な雰囲気が影響しています。住民や訪問者にとって、特定の屋敷を見つけるのが困難であったため、「番町知らず」という諺が生まれました。

町名

番町エリアは以下のように名称が分かれます:

• - 一番町
• - 二番町
• - 三番町
• - 四番町
• - 五番町
• - 六番町
• - 旧・三番町・四番町
• - 九段北二丁目〜四丁目
• - 九段南二丁目〜四丁目
• - 富士見（旧：富士見町）

このように、番町は単なる地名としてだけでなく、東京都心における歴史・文化の重要な一端を担う地域となっています。日枝神社など、地域に根ざした神社も多く、地域社会のアイデンティティを形成しています。

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