異形鉄筋

異形鉄筋とは

異形鉄筋（いけいてっきん、reinforcing steel）は、建物の構造材料として広く使用される鋼材です。この鋼材は圧延加工によって表面にリブや節と呼ばれる凹凸のある突起を持つ棒状の形状をしています。従来の丸鋼に対して異なる形状を持つため、異形鋼と呼ばれています。また、異形鉄筋の中でも棒鋼タイプは「異形棒鋼（いけいぼうこう）」、コイル状に巻いたタイプは「異形コイル鉄筋（いけいコイルてっきん）」と呼ぶことがあります。

基準規格

日本工業規格（JIS）では、異形鉄筋は「鉄筋コンクリート用棒鋼」としてG 3112、または「鉄筋コンクリート用再生棒鋼」としてG 3117にて規定されています。この基準によって、異形鉄筋の製品が一貫した品質と性能を保つようになっています。

用途

異形鉄筋は多様な建設用途で利用されます。鉄筋コンクリート構造物や鉄骨鉄筋コンクリート構造、さらには鉄骨造の基礎部分やブロック構造の補強にも使用されます。特に、凹凸のある表面によりコンクリートやモルタルの付着性が高まり、引き抜き力に対する抵抗力が強化されています。これは、同じ直径の丸鋼よりも表面積が広くなるためです。このため、異形鉄筋は引き抜き抵抗力が高く、定着長が短くなるだけでなく、加工も簡単になるという多くの利点があります。

一例として、ブロック塀など軽微な構造物においては、直径約10mmの異形鉄筋をブロックの継ぎ目に縦に配置し、数段毎に水平方向に配置することで地震に対する耐性を持たせることができます。縦に使う鉄筋は「縦筋（たてきん）」、水平方向に使うものは「横筋（よこきん）」と呼ばれます。

異形鉄筋の種類

異形鉄筋には、強度別に分けられた種類があり、JIS G 3112によって記号化されています。例えば、SD295、SD345、SD390、SD490などがあり、数字は降伏点の強度（単位はN/mm²）を示しています。また、鉄筋の直径を示す呼び名もあり、D4からD51までのサイズが存在します。これにより、異形鉄筋の性質が容易に識別可能です。

接合法

異形鉄筋は、連続的に接合する技術がいくつか存在します。直径約1mmのナマシ線を用いる重ね継手や、ガス溶接を利用した圧接法、ねじによる機械式継手などがあります。一般的に、直径D16以下の場合は重ね継手、D19以上ではガス圧接継手や機械式継手が好まれる傾向があります。

製造方法

日本国内では、異形鉄筋の製造には主に大規模な鉄鋼メーカーと中小規模の電気炉メーカーが存在します。高炉メーカーが主に鉄鉱石を使用するのに対し、電気炉メーカーでは鉄スクラップ（屑鉄）を基本にしています。製造過程では溶鋼を鋳造し、再加熱・圧延を行うことで異形鉄筋が完成します。製品は直物で最大12mまで、またはコイル状にて出荷されます。

結論

異形鉄筋は日本の建設市場において重要な役割を果たしており、その耐久性や接合技術の進化は今後の建물安全に大きく寄与しています。ため、建設業界では欠かせない材料の一つとして、今後も広く利用されていくことでしょう。

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