異方性フィルタリング

異方性フィルタリングとは

異方性フィルタリング（Anisotropic Filtering）は、コンピュータグラフィックスにおけるテクスチャフィルタリング技術の一つです。特に3Dグラフィックスにおいて、テクスチャを貼り付けたオブジェクトを斜めから見た場合に発生する歪みを軽減し、より高品質な映像を生成するために用いられます。

概要

現在のコンシューマ向け3Dグラフィックスカードで広く採用されている異方性フィルタリングは、画質とパフォーマンスのバランスが取れたフィルタリング方法として知られています。従来のバイリニアフィルタリングやトリリニアフィルタリングと比較して、より進化した技術と言えるでしょう。

これらの従来のフィルタリング手法は、テクスチャから矩形領域をサンプリングする方式を採用しています。この方式は、視点がテクスチャ面を真上から見ている場合には問題ありません。しかし、テクスチャを貼り付けた面が斜めになっている場合（例えば、奥に伸びる床など）では、テクスチャがぼやけて見えてしまうという欠点がありました。これは、視点から見てテクスチャの形状が矩形ではなく、台形に見えるためです。

異方性フィルタリングでは、視点からの角度に応じて、テクスチャを台形としてサンプリングすることで、この問題を解決しています。これにより、テクスチャが斜めに見える場合でも、ぼやけを抑え、より鮮明な画像を表示することが可能となります。

具体的には、異方性フィルタリングは、各テクセル（テクスチャの最小単位）に対して、視線方向から見たときのテクセル形状に合わせたフィルタリングを行います。この処理により、視点からの角度によってテクスチャの形状が変化しても、常に適切なサンプリングが行われ、歪みの少ない表示が実現されます。

また、最終的な色の生成には、トリリニアフィルタリングでサンプリングを行います。これにより、テクスチャのミップマップ間でスムーズな補間が行われ、テクスチャの解像度が変化する場合でも、滑らかで自然な表示が実現されます。

異方性フィルタリングのメリット

画質の向上: 斜めから見たテクスチャの歪みが減少し、より鮮明でクリアな画像が表示される。
ぼやけの軽減: 遠くのオブジェクトや斜めになったオブジェクトのテクスチャがぼやけるのを防ぎ、リアリティのある映像表現が可能になる。
パフォーマンスのバランス: 従来のフィルタリング手法と比較して、画質とパフォーマンスのバランスが優れている。

異方性フィルタリングのデメリット

計算コスト: バイリニアフィルタリングやトリリニアフィルタリングに比べて計算コストは高いため、グラフィックス処理能力が低い環境では、パフォーマンスが低下する可能性がある。

まとめ

異方性フィルタリングは、3Dグラフィックスにおいてテクスチャをよりリアルに表示するための重要な技術です。特に斜めから見たテクスチャの歪みを補正し、より高品質な映像体験を提供します。現代のゲームや3Dアプリケーションでは、その恩恵を最大限に活用するために、異方性フィルタリングが広く用いられています。

関連項目

3次元コンピュータグラフィックス
テクスチャフィルタリング

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