発信人は死者

発信人は死者

西村京太郎の長編推理小説『発信人は死者』は、1977年に光文社から刊行された作品です。

ストーリー

報道カメラマンの野口浩介は、深夜に謎の救難信号を受信します。それは、太平洋戦争中に沈没したはずの旧日本軍の潜水艦・伊号五〇九潜水艦からのものでした。野口は、友人である氏家由紀子、江上周作とともに真相を究明しようとしますが、当時の関係者たちが次々と不審な死を遂げていきます。事件の背後には、戦時中の秘密と、それを隠蔽しようとする人々の思惑が渦巻いていました。

主な登場人物

野口浩介: 報道カメラマンで、アマチュア無線とスキューバダイビングが趣味。物語の主人公として、事件の真相を追います。
氏家由紀子: モデルで、野口の友人。スキューバダイビング仲間でもあります。「ユキベエ」という愛称で親しまれています。
江上周作: ヨット設計士で、野口と由紀子の友人。バツイチという設定です。
十津川省三: 警視庁の刑事で、本作では別の事件を捜査中に野口たちと出会い、事件に関わることになります。

その他、旧日本軍関係者や伊号五〇九潜水艦の乗組員、南原機関の関係者、東明大学の関係者など、多数の人物が登場し、複雑な人間関係が物語を彩ります。

作品の魅力

本作の魅力は、過去の戦争の影が現代にまで影響を及ぼすという重厚なテーマと、それを軸に展開されるスリリングなストーリーです。登場人物たちの思惑が絡み合い、予想外の展開が連続するミステリーとしての面白さはもちろん、戦争の悲劇や人間の業を描いた作品としても読み応えがあります。

西村京太郎ならではの緻密なトリックと、鉄道を舞台にした移動描写も健在で、読者を飽きさせません。また、スキューバダイビングやアマチュア無線といった、当時の流行を取り入れた描写も、作品の時代性を感じさせます。

書誌情報

『発信人は死者』光文社〈カッパ・ノベルス〉、1977年11月。ASIN B000J8SU5U
『発信人は死者』光文社〈カッパ・ノベルス〉、1982年1月。ISBN 4-334-02329-0
『発信人は死者』光文社〈光文社文庫〉、1986年3月。ISBN 4-334-70314-3
「発信人は死者」『西村京太郎長編推理選集』 第3巻、講談社、1987年11月。ISBN 4-06-194503-3
『発信人は死者』徳間書店〈徳間文庫〉、2015年4月2日。ISBN 978-4-19-893956-4

映像化

1979年には、本作を原作とした映画が公開されています。

外部リンク

発信人は死者 - 徳間書店

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