発足 (石狩市)

発足（はったり）

発足（はったり）は、北海道石狩市厚田区厚田の東部を指す地名です。厚田区を構成する5つの地域（厚田、古潭、望来、聚富）の一つとして知られています。

地名の由来はアイヌ語の「ハッタラ」で、「淵」や「川の流れのよどむところ」といった意味を持っています。

歴史

1886年（明治19年）6月、美馬徳太郎、村上與平、前田節之助ら5家族が開拓の第一陣として、厚田川に出戸股川が注ぐ地点の対岸付近の盆地に入植しました。彼らはまず自給自足を念頭に置き、トウモロコシ、ジャガイモ、カボチャ、ダイコンなどを栽培し、春に浜で得た身欠きニシンを食料としました。当時は漁獲規制がなかったため、厚田川ではマスやサケが豊富に獲れました。

入植から5年後には20戸余りの集落が形成され、十数年後には40戸を超える規模に発展しました。

1900年（明治33年）：厚田と月形を結ぶ道が開通。
1903年（明治36年）3月：発足分教場が設置。それまで寺子屋形式で行われていた私塾が閉鎖。この分教場が、後の厚田村立発足小学校となります。
1966年（昭和41年）9月：団体電話が架設。
1971年（昭和46年）：発足小学校に併置されていた中学校が、厚田中学校に統合。
1985年（昭和60年）9月7日：開基百年記念碑が建立。
2003年（平成15年）3月：発足小学校が閉校。校舎は「発足地域交流センター」および「厚田・岩波映像資料センター えい・あい館」として利用されています。

開拓の背景

1885年（明治18年）当時、日本の有権者は直接国税2円50銭を納めている者に限られていました。貧富の差が人権の差となる政治に憤った徳島県の若者たちが、北海道開拓によって貧困から脱しようと試みました。美馬徳太郎、村上與平、前田節之助らは、開拓者の募集広告を見て、前年に札幌近郊で就労していた谷傳吉の情報を得て、開拓を決意しました。

1886年（明治19年）2月、美馬と村上が先発隊として故郷を離れ、小樽港へ向かいました。厚田村の有力者である佐藤弁蔵と知り合ったことで、厚田漁港へ向かい、現地の活気に触れた美馬と村上は、故郷に情報を送り、妻子や同志を呼び寄せました。

参考文献

鈴木紘男 編『あつたの歩み』石狩市厚田区、2006年5月。
青木由直『小樽・石狩秘境100選』共同文化社、2007年11月3日。ISBN 978-4-87739-139-3。

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