登録無形文化財

登録無形文化財は、2021年6月14日に文化財保護法の一部改正によって、登録無形民俗文化財と共に新たに設けられた制度です。この制度は、従来の無形文化財における「重要」指定に加え、有形文化財や記念物における登録制度を参考に、生活文化の保護と継承を目的としています。

制度設立の背景

これまで、無形文化財には芸能や工芸技術を対象とした「重要無形文化財」の指定がありましたが、より広範な文化活動を保護する必要性が認識されていました。また、有形文化財には「登録有形文化財」があり、記念物にも登録制度が存在していました。2017年に文化庁に地域文化創生本部が設立されたことを契機に、文化芸術基本法第12条に規定された「生活文化」の振興に取り組むことになりました。

しかし近年、過疎化や少子高齢化による担い手不足、さらには新型コロナウイルス感染症の流行といった社会的な変化により、文化活動の中止や規模縮小を余儀なくされるケースが増加しました。このような状況を受け、生活に根ざした文化を次世代に継承していくための新たな制度として、登録無形文化財が創設されたのです。

登録された文化財

登録無形文化財の第1号には、書道と伝統的酒造りの2件が選ばれ、文部科学大臣に答申されました。これらの文化財は、ユネスコの世界無形文化遺産への登録も視野に入れた活動が展開されています。

2021年登録

書道（日本書道文化協会）
伝統的酒造り（日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造りの技術の保存会）

2022年登録

菓名をもつ生菓子（練切・こなし、優秀和菓子職会）
京料理（京料理技術保存会）

2024年登録

華道（日本いけばな伝統文化協会）
手揉み製茶（手もみ製茶技術保存会）

これらの登録事例からもわかるように、登録無形文化財は、特定の分野に偏らず、幅広い生活文化を対象としていることが特徴です。

関連する文化財

登録無形文化財に関連する文化財としては、以下のものがあげられます。

重要無形文化財
登録有形文化財
登録有形民俗文化財
登録記念物

これらの文化財は、それぞれ異なる法律や制度に基づいて保護されており、文化財全体を体系的に理解する上で、その相互関係を把握することが重要となります。

まとめ

登録無形文化財は、急速な社会変化の中で失われつつある生活文化を保護し、次世代に継承していくための重要な制度です。今後も、様々な分野における文化活動が登録されることで、日本の文化の多様性を維持し、豊かな社会の実現に貢献していくことが期待されます。

参考情報

* 文化庁ホームページ（外部リンク）

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