白い愛の戦士

白い愛の戦士について

「白い愛の戦士」は、1994年にオウム真理教が結成した実働部隊を指します。この名は教団の顧問弁護士である青山吉伸の提案によって生まれました。彼らの活動は、教団の意向に基づく厳しい訓練と、非合法な使命を遂行するためのものでした。

結成の背景と人材募集

この部隊は、映画撮影という名目で人材を募集しました。具体的には、”第三次世界大戦を題材にした映画”として、無職や自衛官、さらには暴力団関係者も含む約50人の労働者を集めたのです。彼らには、映画のエキストラとして日当16,000円が約束され、岐阜県高野村にある村営山小屋に連れて行かれました。実際のところ、そこは映画撮影のための合宿ではなく、教団への入信を狙った洗脳の場であったのです。

集まったメンバーは、戦争映画や格闘技映画などを視聴し、体力を鍛えるトレーニングを行いました。参加者たちの平均年齢は22〜23歳でしたが、合宿が進むにつれてオウムの名前が出て、最終的には約30人が出家することになりました。この中には、自衛官が多く含まれており、麻原彰晃はその成果を喜び、特別に焼肉を食べる許可を出しました。

非合法活動の実行部隊への移行

「白い愛の戦士」は、教団の秘匿的な活動を引き受けるために「新信徒庁」という組織に所属しました。この庁は大内早苗が長官として指揮しました。1994年の夏、彼らの正体が発覚し、岐阜からの移動を余儀なくされた後は、和歌山県古座川町の小川中学校を拠点として活動を行うことになります。しかし、この拠点もまた、団体の存在がバレたために使用できなくなり、最終的にはオウムクーデター計画も達成されないまま1995年3月の強制捜査へとつながりました。

厳しい訓練と教義教育

訓練は厳しいもので、毎朝6時に起床し、ランニングやヨガ、体操を行い、警察の取り締まりに関するビデオを見たりしました。教義に関する講義も行われ、知識のテストが伴うことがほとんどでした。特に、1994年10月には「これから戦いがある」という理由で迷彩服が支給され、本格的な軍事訓練が始まりました。各地での潜伏訓練やサバイバルゲーム、さらにはロシアでの射撃訓練にまで参加しました。こうした訓練の一環として、信者たちは教義に基づくヨーガや麻原の教えを学ぶことが義務付けられていました。

監禁と暴力

また、参加者の中には脱走を試みる者もいましたが、監禁される結果となることが多かったようです。ある元塗装職の男性は、教団からの出家の誘いに応じた後、給料の不正に気付くと脱出を試みたが、幹部から「救済のためには手段を選ばない」と告げられ拘束されてしまいました。彼の証言によると、脱出を試みた労働者の仲間が見つかり、最終的に暴力行為や監禁を受けることになる場面もありました。

「白い愛の戦士」の活動は、オウム真理教の悲劇的な歴史の一部であり、今もなお多くの人々に影響を与えています。

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