白い船

映画『白い船』：島根の小さな港町とフェリーの交流を描いた感動の実話

2002年に公開された日本[[映画]]『白い船』は、島根県にある小さな小学校とフェリーとの交流を描いた心温まる物語です。錦織良成監督による「島根3部作」の第1作として知られており、倉掛晴美著『海の子の夢をのせて』を原作としています。映画化に合わせ、早坂真紀による小説版『白い船』も出版されました。

映画の舞台：塩津小学校と九越フェリー

映画の舞台となったのは、島根県平田市（現・出雲市）の塩津小学校です。児童たちは、港から見えるフェリー「れいんぼうらぶ」に興味を持ち、1998年、社会科の授業の一環としてフェリー会社に手紙を送りました。この交流がきっかけとなり、児童たちは「れいんぼうらぶ」に乗船する機会を得たり、学校で制作した壁新聞が船内に掲示されたりと、船乗りの人々との交流を深めていきました。

映画で描かれているフェリー「れいんぼうらぶ」は、かつて室蘭港、直江津港、博多港を結んでいた九越フェリーの船です。九越フェリーは、1996年に直江津と博多を結ぶ航路を開設し、「れいんぼうべる」「れいんぼうらぶ」の2隻を就航させました。この航路の開設により、定期航路による日本一周が可能となり、大きな話題となりました。しかし、2006年には航路が廃止され、「れいんぼうらぶ」も別の会社に譲渡されました。

映画化の経緯とその後

錦織監督は、しまね映画祭の会場へ向かう途中、塩津小学校とフェリーの交流の話を耳にし、この実話を映画化することを決意しました。映画は、児童と船乗りの交流だけでなく、閉校を控えた小学校の思い出や、航路廃止という時代の流れなども繊細に描いています。

映画公開後、塩津地区には「白い船公園」が整備され、監督や俳優たちのサインが刻まれたモニュメントや主題歌の歌碑が設置されました。2019年に塩津小学校が閉校する際には、錦織監督や主演の中村麻美さん、主題歌を担当した角松敏生さんらが閉校記念の学習発表会に参加するなど、映画は地域に大きな影響を与え続けました。

キャストとスタッフ

映画には、中村麻美、濱田岳、中村嘉葎雄、尾美としのり、竜雷太、大滝秀治など、実力派俳優が多数出演しています。音楽は角松敏生が担当し、主題歌「Always Be With You」も大きな話題となりました。その他、多くのスタッフが協力し、この感動的な物語を完成させました。

ロケ地と関連事項

映画のロケ地は、主に島根県平田市（現・出雲市）塩津地区、松江市中心部、出雲市美保町、そして新潟県上越市の直江津港東埠頭、九越フェリー「れいんぼうらぶ」船内などで行われました。

また、本作の制作に携わった一人であるFROGMANは、ロケ撮影中に知り合った女性と結婚し、島根県平田市に移住しました。後に『秘密結社鷹の爪』などのアニメ作品で知られるようになるなど、映画は様々な縁を紡いでいます。

『白い船』は、地域の人々の温かい交流と、時代の変化の中で失われていくものへの郷愁を丁寧に描いた、忘れがたい感動的な作品です。美しい島根の風景と、心に響く音楽が織りなす、忘れられない映画体験をぜひ味わってみてください。

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