白と黒 (テレビドラマ)

昼ドラマ『白と黒』

『白と黒』は、2008年6月30日から9月26日まで東海テレビ・フジテレビ系列で放送された昼のテレビドラマです。全64回で、放送時間は13:30～14:00 (JST)でした。信州（長野県）の山中にある生薬研究所を舞台に、登場人物たちの複雑な人間関係が描かれています。

概要

このドラマは、誠実で思慮深い善人である章吾と、人を傷つけることも厭わない享楽的で情熱的な悪人である聖人という、対照的な二人の男性の間で揺れ動くヒロイン・礼子を中心に展開します。礼子は、親友・一葉が起こした交通事故現場に置き去りにされたことをきっかけに、事故の真相を探る中で、いつしか二人の男性に惹かれていきます。物語は、人間の心の奥底にある白と黒、善と悪を深く掘り下げて描いています。

ヒロインには、当時20歳の女優が起用され、これは『愛のことば』の鶴水瑠衣以来、7年ぶりのことでした。また、近年の東海テレビ昼ドラマと比較すると、ヒロインの相手役の年齢層も低めに設定されています。脚本は、坂上かつえと岡崎由紀子が初めて昼ドラを担当しました。

あらすじ

礼子は、「桐生創薬研究所」で働くことになり、研究所のパーティーで所長の長男である章吾からプロポーズを受けます。章吾の幼馴染である一葉は、二人の突然の結婚に驚きながらも祝福します。しかし、一葉が運転する車が山道で事故を起こし、礼子は意識を失います。意識を取り戻した礼子は、一葉に助けを求めますが、なぜか一葉は礼子を置き去りにして立ち去ってしまいます。偶然通りかかった聖人に助けられた礼子は、その後も変わらぬ優しさを見せる一葉の中に潜む真実を知りたいと願うようになります。

キャスト

桐生（神室）礼子 - 西原亜希
本作の主人公。幼い頃に父と死別し、ネグレクト状態だった母に代わり養父母に育てられました。そのため、苦労を厭わない強い性格を持っています。薬学部出身で、「桐生創薬研究所」に入所し、章吾と婚約します。親友・一葉が起こした自動車事故をきっかけに、章吾と一葉の関係を疑い始め、聖人によって二人の過去や本音が暴かれていきます。雨の中、山に取り残された際に聖人に助けられ、彼を意識するようになります。聖人の企みを知り、彩乃に相談しますが、勘当された聖人から駆け落ちを誘われます。その後、章吾と結婚しますが、復讐に燃える聖人が近づいてきます。
桐生聖人 - 佐藤智仁（現・佐藤祐基）
和臣の次男。大学卒業後は海外を放浪していました。幼少時から絵の才能がありましたが、父・和臣の期待に背き、家出していました。4年ぶりに桐生家に戻り、画家を目指しますが、定職には就いていません。礼子を事故から救い、兄・章吾と父・和臣を憎んでいますが、研究所の土地を守るためにヤクザから金を借ります。礼子に近づき、事故の真相を突き止めようとする中で、彼女に惹かれていきます。サリナや小林を利用して研究所のデータを盗もうとします。享楽的な生活を送り、人を傷つけることを厭わない悪人です。手先が器用で、礼子が子供の頃に買ってもらったオルゴールを修理しました。幼い頃に母を亡くしたと思っていましたが、彩乃が実母であることを知ります。彩乃の最期を看取り、和臣に毒を盛った容疑で自首、服役します。3年後に出所し、一葉と結婚しますが、礼子への復讐心は消えていません。
桐生章吾 - 小林且弥
和臣の長男。「桐生創薬研究所」の跡取り息子で、礼子の婚約者です。かつて一葉と交際していましたが、父の勧めで礼子にプロポーズしました。誠実で思慮深く、理想家ですが、意志の強さが強引になることもあります。弟・聖人の奔放な生き方に嫉妬しています。フェンシングが得意で、家庭的な雰囲気を持っていますが、礼子と一葉の間で優柔不断な態度を見せることもあります。聖人の企みを知った礼子に不信感を抱き、尾行した際に彩乃が実母であることを知ります。3年後、礼子と結婚しますが、服役中の聖人から手紙が届きます。
桐生（秋元）一葉 - 大村彩子
礼子の親友で、章吾と聖人の幼馴染。高校時代は章吾の応援団長でした。不動産会社社長令嬢ですが、優しい性格です。研究所主催のパーティーの帰りに交通事故を起こし、礼子を置き去りにしますが、その後も礼子に変わらない友情を注ぎます。章吾への思いが続いており、章吾の子を堕胎したと嘘をつきます。東谷の土地を父にねだり、新たな地主となります。研究所への出入りを禁じられますが、温室で章吾と密会します。心労で入院し、礼子に結婚を邪魔したことを謝罪しますが、聖人の駆け落ちの約束を章吾に告げ口します。3年後、聖人と結婚し「青の館」で働きますが、聖人の復讐のために結婚したことを知りショックを受けます。
鈴木路子 - 伊佐山ひろ子
桐生家の家政婦。章吾と聖人を愛情を持って育ててきました。和臣に恋心を抱いています。
橘（大貫）彩乃 - 小柳ルミ子
会員制サロン「青の館」を経営するマダム。和臣と結婚していましたが、彼の堅苦しさに嫌気がさし出奔しました。章吾と聖人の母親です。自由奔放な生き方をしていますが、後に礼子の相談相手になります。聖人の悪事に心を痛め、末期の肝臓癌で亡くなります。
大貫 - 大出俊
彩乃の愛人で輸入業を営んでいます。彩乃の葬儀を行い、3年後には聖人の身元引受人となります。「青の館」でワイン試飲会を行いますが、聖人の研究データを盗む計画に関わっています。
桐生和臣 - 山本圭
章吾と聖人の父親。「桐生創薬研究所」所長。真面目な性格で、研究者として立派に成長した章吾を誇りに思っています。出来の悪い聖人を恥じており、研究所のために礼子と章吾を婚約させました。聖人が研究データを盗もうとしたことに激怒し、勘当します。新成分を発見しますが、聖人に毒を盛られ、後遺症が残ります。セフィロニウムから抽出したA115を自ら人体実験しました。
篠塚 - 仲本工事
桐生家出入りのクリーニング商で、噂好きです。
サリナ - 桂亜沙美
聖人の恋人で、聖人の企みに関わっています。私利私欲に忠実な性格で、一葉の嘘を暴露します。小林を誘惑し、関係を持ち、研究データを盗もうとします。
中村秀則 - 久ヶ沢徹
「桐生創薬研究所」の所員で、経理に強く、和臣と章吾からの信頼も厚いです。
水口珠江 - 斉川あい
「桐生創薬研究所」の所員。研究一筋の真面目な女性ですが、聖人に挑発され、次第に女性らしくなっていきます。3年後、小林と婚約します。
小林透 - 白倉裕二
「桐生創薬研究所」の所員。珠江に好意を寄せていますが、恋愛経験がなく、不器用な男です。サリナに誘惑され、研究所のデータを盗もうとしますが、礼子に告白します。3年後、珠江と婚約し、浜松へ行きます。
秋元 - 浜田晃
一葉の父で、和臣を嫌っています。東谷の土地をゴルフ場にしようとします。
吉住 - 松原正隆
金融ブローカーで、研究所の土地を狙っています。聖人に金を貸しています。
長谷川真紀 - 真野裕子
フリーライターで、中村に近づきますが、聖人が送ったスパイでした。

スタッフ

制作 - 東海テレビ放送、国際放映
脚本 - 坂上かつえ、岡崎由紀子、遠藤彩見
演出 - 奥村正彦、村松弘之、堀口明洋
プロデューサー - 風岡大、河角直樹、浦井孝行
音楽 - 岩本正樹

主題歌

砂川恵理歌　『ひかり』（よしもとR and C）
ジャコモ・プッチーニのオペラ『トゥーランドット』のアリア『誰も寝てはならぬ』に日本語詞をつけたものです。

このドラマは、複雑な人間関係と、登場人物たちの心の葛藤を描いた、見応えのある作品です。

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