白ネズミは人気者

トムとジェリー：白ネズミは人気者

1955年公開の『白ネズミは人気者』(Mouse for Sale)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの監督による人気アニメーション『トムとジェリー』シリーズの一作品です。本作では、金と愛猫の狭間で揺れるトムの姿や、賢く愛嬌のあるジェリー、そしてその二人の関係を見守るジョアン夫人の行動を通して、コミカルで心温まる物語が展開します。

物語のあらすじ

新聞を読んでいたトムは、ある記事に目を奪われます。「白ネズミ、高価買取」という広告です。金に目がくらんだトムは、思いつきました。いつも彼を苦しめる宿敵、ジェリーを白ネズミとして売り飛ばすという大胆な計画です。

巧みにジェリーを白ネズミに仕立て上げ、ペットショップに売りつけたトムは、大金を手に入れ、舞い上がります。札束をカーペットの下に隠して、億万長者の気分を味わうトム。しかし、その幸せは長く続きませんでした。飼い主のジョアン夫人が、買い物に出かける際に、トムの隠した金を発見してしまったのです。

お金を失い、落胆するトム。帰宅したジョアン夫人は、新しいペットを連れていました。なんと、それはトムが売り飛ばしたジェリーでした！白く塗られたジェリーは、「踊る白ネズミ」として、ジョアン夫人の新しいペットとなっていたのです。

ジェリーと仲睦まじく過ごすジョアン夫人を見て、トムは怒り狂います。ジェリーの正体を暴こうとしますが、ジェリーも巧みに隠蔽工作を仕掛け、いつものトムとジェリーの追いかけっこが始まります。しかし、今回は状況が違います。ジョアン夫人は、白ネズミをいじめるトムを許しません。箒でトムの頭を叩き、トムを追い詰めていきます。

ついに、ジェリーの正体を暴くことなく、トムは家から追い出されてしまいます。がっかりするトムでしたが、ガレージにあった白ペンキを見て、ひらめきます。

しばらくして、ジョアン夫人の前に現れたのは、「踊る白ネコ」に扮したトムでした。自ら全身を白ペンキで塗りたくったトムは、ジェリーのように軽やかにダンスを披露します。ジョアン夫人は、トムの行動を見て、ジェリーへの嫉妬だと勘違いします。「トムったら、白ネズミに焼き餅焼いてたのね。家に入れてあげるけど、これからは仲良くしなくちゃダメよ。」と、トムを家の中に迎え入れます。

そして、物語はトムの勝利で幕を閉じます。ジョアン夫人が去った後、トムはジェリーを踊りながら踏みつけ、痛快な仕返しをするのでした。本作は、トムが勝利する数少ないエピソードとして知られています。

主要登場人物

トム:　金に目がくらみ、ジェリーを白ネズミに偽装して売り飛ばすも、最後は逆転劇でジェリーに仕返しをする。
ジェリー: トムに白ネズミに仕立て上げられ、一時的に飼い主のジョアン夫人のもとへ行くが、最後はトムから仕返しを受ける。
* ジョアン夫人: トムの飼い主。トムの隠したお金を見つけ、そのお金でジェリーを購入する。トムの行動に怒りを感じながらも、最後はトムを許す。

作品の魅力

『白ネズミは人気者』は、トムとジェリーのコミカルなやり取りだけでなく、金銭、友情、嫉妬など、人間社会の様々な側面を巧みに織り交ぜた作品です。予測不能な展開と、痛快なラストシーンは、視聴者に忘れられない印象を与えます。トムとジェリーシリーズの中でも特に、トムの狡猾さと、その行動の意外性が際立つ、傑作と言えるでしょう。 また、本作は、アニメーション技術の高さも高く評価されています。キャラクターの表情や動き、背景の細部に至るまで、丁寧に描かれており、高い完成度を誇っています。

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