白井淳夫

白井淳夫（しらい あつお）氏は、1945年生まれの日本を代表するジャズ・サクソフォン奏者です。福井県出身で、大学時代に映画『グレン・ミラー物語』に感銘を受け、ジャズの世界に足を踏み入れました。

1972年、白井氏は日本のビッグバンドの雄、「宮間利之とニュー・ハード」のオーディションに合格し、入団を果たします。このビッグバンドは、日本のジャズシーンにおいて大きな存在感を示しており、白井氏はその一員として、数々のジャズ・コンサートやレコーディング、テレビ番組に出演し、演奏活動を開始しました。特に1974年から1977年にかけては、「ニュー・ハード第二黄金期」と呼ばれ、アルトサクソフォン奏者として活躍しました。

白井氏のキャリアにおける大きな転換点は、1974年にアメリカで開催された二大ジャズ・フェスティバルへの出演です。世界的に有名な「モンタレー・ジャズ・フェスティバル」では、ジャズ界のレジェンド、ディジー・ガレスピー氏と共演を果たし、更には「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」では、カウント・ベイシー氏との共演も実現させました。これらの経験は、白井氏の音楽家としての成長に大きく貢献したことは間違いありません。宮間利之とニュー・ハードは、これらのフェスティバルで最高の栄誉賞を受賞しており、白井氏もその栄光を分かち合ったのです。

その後、1978年には国際親善使節として南米4カ国を演奏訪問し、ジャズ音楽を通じた国際交流にも貢献しました。同年、宮間利之とニュー・ハードを退団し、日本を代表するビッグバンドの一つである「森寿男とブルー・コーツ」に入団しました。

1981年には、故郷である福井市に戻り、地元での活動を開始します。その活動の一つとして、世界初の試みである「100人太鼓」の作曲を担当しました。これは福井県企画、置県百年記念式典のために制作されたものであり、白井氏の音楽的な才能が、ジャズ以外の分野にも及ぶことを示しています。

福井に戻ってからも、白井氏の音楽活動は活発でした。1983年には「フクイ・ジャズ・クァルテット」を結成し、1986年には「フクイ・スゥィンギン・ジャズ・バンド」を結成するなど、地元福井のジャズシーンを牽引する存在でした。また、1984年から1991年までは、NHK福井放送局のラジオ番組「夕べのひととき」でジャズDJを担当し、ジャズ音楽の普及にも貢献しました。

1994年には、自身のビッグバンド「白井淳夫Swingin' Band」を結成し、リーダーとして活動を開始しました。1995年には、福井県鯖江市で開催された「世界体操選手権」のイベントにも出演するなど、精力的に活動し、1999年にはジャズ文化の啓蒙活動が認められ、「福井新聞文化賞」を受賞しました。

2007年、白井氏は念願のリーダーアルバム「Swingin' Daddy」をリリースしました。このアルバムは、白井氏の音楽人生における大きな成果の一つであり、彼のジャズに対する情熱と、長年にわたる経験が凝縮された作品と言えるでしょう。

現在も、白井淳夫氏は福井県を中心に精力的に活動を続けており、地元福井のジャズシーンを支える重要な存在として、ジャズ音楽の普及と発展に貢献し続けています。彼の音楽は、数多くのファンを魅了し続け、日本のジャズ史にその名を刻んでいます。

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