白双糖

白双糖（しろざらとう）は、砂糖の分類において「ざらめ」と呼ばれる種類の一つであり、ショ糖を結晶化させて作られます。一般的な通称としては、単にザラメ糖、あるいは白ザラメ、上双糖とも呼ばれます。その名称は、粒が大きいことに由来する歴史的な背景を持っています。

この砂糖の最も顕著な特徴は、その粒の大きさです。一般的に1.0ミリメートルから3.0ミリメートル程度の大きな結晶粒を持ち、これは他の多くの砂糖、例えばグラニュー糖などに比べてかなり大きいです。結晶は無色透明で、光沢を帯びています。また、香りはほとんどなく、口にしたときの甘味は非常に淡白でクセがありません。この純粋な甘味は、素材本来の風味を損なわずに甘みを加えるのに適しています。

白双糖の製造方法は、グラニュー糖や氷砂糖のそれと基本的に同じであり、精製された高濃度の糖液をゆっくりと冷却することで、ショ糖を結晶させるプロセスを経ます。ただし、結晶の成長度合いや工程の違いにより、最終的な粒の大きさが調整されます。白双糖の粒は、氷砂糖ほどではありませんが、肉眼ではっきりと確認できるほどの大きさで、特徴的な平たい直方体の形状をしています。この形状もまた、ざらめ糖の視覚的な特徴の一つです。

白双糖は、その製造過程で不純物が極めて少なくなるため、砂糖としての純度が非常に高いことが特長です。この高純度であることと、ある程度の高温になっても結晶が溶けて透明な状態を保つ性質から、様々な分野で重宝されます。特に、透明な仕上がりが求められるリキュールの製造や、宝石のような光沢を持つコンフィチュール（ジャム）などの洋菓子作り、また、飴細工のような加熱が必要な製菓材料として理想的です。さらに、日本の伝統的な菓子であるカルメ焼きや、祭りの縁日などで親しまれる綿菓子（わたあめ）の主要な原料としても不可欠な存在です。これらの菓子は、加熱によって砂糖が溶けて空気を含むことで独特の食感や形状が生まれますが、白双糖の純度と耐熱性がその品質を支えています。

白双糖の名称の由来には興味深い歴史があります。元々、この大きな結晶を持つ砂糖は、その粒の「目が粗い」ことから「あらめ」と呼ばれ、「粗目」と表記されていました。しかし、時代の流れとともに発音が変化し、「あらめ」が「ざらめ」と訛るようになり、やがて音に合わせた「双目」という漢字が当てられるようになりました。「双目」という字には特別な意味があるわけではなく、単なる当て字です。このようにして「ざらめ」という通称が定着しました。

ざらめ糖には、白双糖の他にもう一つ主要な種類が存在します。それが「中双糖（ちゅうざらとう）」です。白双糖が極めて純度が高く無色透明なのに対し、中双糖は製造過程でカラメル成分を意図的に加えるか、あるいは精製度がやや低いことから、薄い茶色がかった色をしています。このカラメル成分が含まれることで、中双糖は白双糖にはない独特の風味や香ばしさを持ちます。したがって、白双糖は「白」の文字が示す通り、無色透明で淡白な甘味を持つ純粋なざらめとして、中双糖とは明確に区別されています。白双糖はその高い純度と透明性を活かした用途に、中双糖はその色と風味を活かした用途にと、それぞれ異なる特性と役割を持っています。

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