白戸仲久

白戸 仲久（はくと なかひさ）は、1941年（昭和16年）11月18日に生まれた日本の政治家です。特に茨城県古河市の市政において中心的な役割を担い、合併後の初代市長として合計2期務めました。

白戸氏は埼玉県立杉戸農業高等学校を卒業しています。政治の世界に入る前は、総和町の教育委員長などを歴任し、地域の行政や教育分野で経験を積みました。その後、政治家を志し、2002年には総和町長選挙に立候補します。この選挙では現職であった菅谷憲一郎氏を破り、町長に就任しました。

白戸氏が総和町長を務めていた時期は、周辺自治体との合併に向けた協議が進められていました。総和町は、隣接していた（旧）古河市と三和町との合併協議会に参加し、新市誕生に向けた動きが加速します。そして、2005年にこれら3市町が合併し、新たな古河市が誕生しました。

合併後、初代の古河市長を決める選挙が実施されます。白戸氏は、この選挙に立候補し、旧古河市長であった小久保忠男氏や、かつて総和町長選で争った菅谷憲一郎氏を破り、激戦を制して新しい古河市の初代市長に就任しました。この勝利は、合併により誕生した新しい自治体の舵取りを任される重要な役割を担うこととなりました。

初代市長として市政運営にあたった後、2009年には再選を目指して市長選挙に立候補します。この時の選挙も、前回と同様に小久保忠男氏と菅谷憲一郎氏が対立候補として名乗りを上げました。三つ巴の戦いとなりましたが、白戸氏は再び勝利を収め、古河市長として2期目を務めることになりました。

2期目の市政運営中、白戸氏は市内に新しい文化施設の建設を進めていました。この文化施設は、図書館や大ホールなどを備えた複合施設として計画されていましたが、その建設費用が多額であることや、建設予定地がかつて産業廃棄物の最終処分場跡地であったことなどが問題視されるようになります。これらの懸念が高まるにつれて、市民の間で白戸市長の解職を求めるリコール運動へと発展しました。

リコール運動は広がりを見せ、白戸氏の解職を求める署名は、住民投票を実施するために必要とされる有権者の3分の1、具体的には3万9451人を上回る数に達しました。これにより、市長の信任を問う住民投票の実施が法的に可能となりました。この状況を受け、白戸氏は住民投票を待たずに市長を辞職することを決断し、辞職に伴う出直し市長選挙に臨むこととなりました。

辞職後の出直し市長選挙には、白戸氏自身と、前回の市長選挙で落選し、この時は「文化施設の建設中止」を主要な公約に掲げた菅谷憲一郎氏が立候補しました。市民の信任を問うこの選挙は、文化施設建設の是非が大きな争点となりました。選挙の結果、白戸氏は菅谷氏に敗れ、古河市長の座を明け渡すこととなりました。この選挙での敗北は、白戸氏の古河市長としてのキャリアにおける区切りとなりました。

白戸仲久氏に関する情報は、地方選挙の記録や人物情報をまとめた文献などに記載されています。例えば、『地方選挙総覧 <知事・市長・特別区長> 平成篇 1989-2019』（日外アソシエーツ、2019年）や『茨城県人物・人材情報リスト 2021』（日外アソシエーツ、2020年）、『全国歴代知事・市長総覧』（日外アソシエーツ、2022年）などが挙げられます。

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