白梅図子

白梅図子（しらうめずし）は、かつて京都市上京区の新夷町（しんえびすちょう）に存在した花街です。その歴史は、元禄時代に遡ります。

白梅図子の起源

元禄16年（1703年）、松屋町丸太町や新松屋町周辺に住んでいた人々が、京都所司代の拡張工事に伴い、現在の新夷町にあたる代替地に移住しました。彼らはそこで煮売茶屋（にうりちゃや）を始め、これが白梅図子の花街としての起源となりました。

煮売茶屋では、茶汲女（ちゃくみおんな）と呼ばれる女性たちが働いていました。彼女たちはやがて遊女として客を取るようになり、この地域は徐々に花街としての色合いを強めていきました。しかし、当時の衛生環境は劣悪で、シラミが頻繁に発生したため、「虱（しらみ）の図子」という不名誉な呼び名で呼ばれることもありました。

その後、「白梅」という名の遊女が現れ、彼女の名前にちなんで「白梅図子」と呼ばれるようになったと伝えられています。

短命に終わった花街

明治2年（1869年）には、新松屋町と夷町が合併し、新たに新夷町という町名が誕生しました。翌明治3年（1870年）には、当時存在した二条新地の出稼ぎ地として公認されましたが、白梅図子は次第に衰退していきました。そして、明治6年（1873年）には、花街としての歴史に幕を閉じました。

現在の新夷町

2019年現在、白梅図子が存在した新夷町は、普通の住宅地となっており、かつての花街の面影はほとんど残っていません。しかし、その地名と歴史は、京都の片隅に存在した花街の記憶を今に伝えています。

このように、白梅図子は、短い期間ながらも京都の歴史に名を刻んだ花街でした。その起源は煮売茶屋であり、遊女たちの活躍によって花街として発展しましたが、衛生問題や他の花街との競争などにより、短期間で衰退してしまいました。現在では、その痕跡をほとんど見ることができませんが、その名前は、京都の歴史を語る上で忘れてはならない存在です。

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