白砂青松(はくしゃせいしょう)
白砂青松とは、白い砂浜と青々とした松(主に
クロマツ)が調和した、日本の美しい
海岸風景を形容する言葉です。「はくさせいしょう」と読むこともあります。この景観は、日本の風土を代表するものとして、古くから多くの人々に愛されてきました。
住吉模様
白砂青松の典型的な景観を描いたものとして「住吉模様」があります。これは、
大阪市住吉区にある
住吉大社の社前の風景をモチーフにしたとされています。現在では市街地となっていますが、かつては海に面しており、美しい白砂青松の風景が広がっていたと考えられています。
住吉大社の近く、
大阪市住之江区安立には、
天武天皇の皇子である長皇子が『
万葉集』にその風光明媚さを詠んだ霰松原の跡地があります。
生態学的な視点
白砂青松を構成する松は、一般的に
クロマツを指すとされています。
クロマツは本州北部以南から九州にかけての
海岸に生育し、
海岸沿いに松林を形成します。しかし、
海岸の松林は、本来はアカマツ林だった地域も多く、奄美以南では
リュウキュウマツに置き換わります。
また、北海道の一部ではアカエゾマツや
トドマツが
海岸林を形成することもあります。
現在の
海岸の
クロマツ林の多くは、江戸時代以降に防風や防砂のために大規模に植林されたものです。そのため、白砂青松の風景は、必ずしも自然のままの姿とは限りません。
暖帯域における
海岸の本来の植生は、タブ林や
スダジイ林であると考えられています。多くの場合、遷移が進むとこれらの樹林に変化します。
その他
1987年には、社団法人日本の松の緑を守る会が「
日本の白砂青松100選」を選定し、その保護と啓蒙活動を行っています。
脚注
参考文献
石塚和雄、「砂浜と砂丘の植生」、生態学講座編集委員会編『自然と生態学者の目』(1977)、共立出版
沼田真・岩瀬徹、『図説 日本の植生』、(1975)、朝倉出版
関連項目
霰松原(大阪府大阪市住之江区安立)
三保の松原(
静岡県静岡市清水区)
天橋立(京都府宮津市)
虹の松原(
佐賀県唐津市)
風の松原(秋田県能代市)
鳴り砂(島根県大田市仁摩町、
琴ヶ浜など)
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保安林