白神丸

白神丸と竜飛丸

白神丸（しらかみまる）は、第一次世界大戦に伴う青函航路の貨物輸送需要の急増を受け、1917年に建造された木造の貨物船です。この船は、同型船である竜飛丸（たっぴまる）と共に、鉄道院によって建造されました。両船は、当時の日本で深刻な鉄材不足が続く中、木材を利用して作られ、船舶建造には経験豊富な技術者が携わりました。

建造の背景

青函連絡船は1908年に開設されましたが、その初期において、日本郵船との競争が激化していました。旅客は帝国鉄道庁連絡船に流れたものの、貨物は依然として日本郵船に偏っていました。しかし、1910年に日本郵船が青函航路から撤退した後、貨物輸送量は急激に増加しました。それに伴い、鉄道院はさらなる運航力増強を図る必要が生じ、軽量化が求められました。

鉄道院は、1910年から1914年にかけて、義勇艦の傭船や、さまざまな航路からの船の転用を行いつつ、青函航路の貨物輸送に対応していました。しかし、第一次世界大戦が進行する中で、さらなる貨物急増が見込まれ、それに対応するための新たな船舶が求められました。特に1916年以降になると、貨物輸送量は前例のないスピードで伸び、1917年度には36万トンを超えました。

貨物船としての特色

白神丸は、従来の平凡な貨物船とは異なり、丁寧に設計されており、米松材を使用して頑丈に建造されています。船の前後にはそれぞれ貨物艙が設けられ、荷役用のデリックも設置されており、効率的な積み下ろしが可能でした。従来型の貨物船では、積替えに多くの時間を要するため、運航効率が悪く、影響を受けることが多かったのですが、白神丸はそのデザインにより、運航時の作業をスムーズにしました。

青函航路での活躍

就航後すぐに、白神丸は青函航路で重要な役割を果たしました。1918年になると、これまでの旅客便における貨物積載は廃止され、その後も貨物船の効率向上が試みられました。1919年には、白神丸と共に新たな木造貨物船が運航を開始し、貨物輸送の安定化に寄与しました。この一連の流れは、鉄道院が旅客輸送や貨物輸送のニーズに応じて迅速に対応できる体制を整えることに成功したことを示しています。

戦後の影響と終焉

しかし、1920年代に入ると、戦後恐慌の影響で貨物需要が減少しました。その結果、白神丸も運航期間中に貨物扱いを減らし、最終的には1925年に終航しました。後に、白神丸という名称は青函航路の補助汽船として再利用されることになりました。消えゆく時代の流れの中で、白神丸の活躍は、青函航路における重要な役割を果たし続けました。

まとめ

白神丸とその姉妹船である竜飛丸は、第一次世界大戦という時代背景の中で、革新的な貨物船として登場しました。彼らの建造は、鉄道院が如何にして貨物輸送の需要に適応し進化していたかを示す良い例です。鉄材不足にもかかわらず、木造でありながら優れた設計で作られたこれらの船は、青函航路において多くの貨物を運び、歴史の一翼を担ったと言えるでしょう。

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