白羽祐三

白羽 祐三（しらは ゆうぞう）は、1925年に生まれ、2005年に逝去した日本の法学者および弁護士です。民法をその主要な専門分野とし、中央大学の発展に長らく貢献しました。同大学で教授を務めた後、名誉教授の称号を授与されています。静岡県の出身です。

白羽氏は、法曹としての道を志し、1948年に司法試験に合格しました。その後、学術の道に進み、1950年に中央大学法学部を卒業します。卒業と同時に、同大学法学部の助手としてキャリアをスタートさせました。研究者として着実に歩みを進め、1955年には法学部助教授に昇任。そして1962年には同学部教授となり、民法研究の中心的な役割を担うようになります。

学識をさらに深めるため、1965年にはドイツへ留学し、アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクで研鑽を積みました。帰国後、大学運営においても重要なポストを歴任します。1968年から1973年にかけて中央大学法学部長を務め、学部の教育研究体制の充実に尽力しました。同時期の1968年から1969年、および再任された1972年から1973年には、中央大学大学院法学研究科委員長も兼任し、大学院教育の発展にも貢献しました。また、1969年から1992年までの長期間にわたり中央大学評議員を務めるなど、大学の意思決定にも深く関わりました。さらに、1972年から1973年、および1984年から1987年の期間には、学校法人中央大学の理事としても大学運営に携わっています。

学問的な業績としては、1983年に学位論文「現代契約法の理論」によって中央大学より法学博士の学位を取得しています。この論文は、その後の研究活動の基盤となる重要な成果でした。

白羽氏は1996年に中央大学を定年により退職し、名誉教授の称号を得ました。同年、長年の研究者生活と並行して法曹としてのキャリアも再開し、弁護士登録を行っています。中央大学退職後も教育への情熱は衰えず、国際学院埼玉短期大学健康栄養学科で客員教授として教壇に立ちましたが、2001年に同短期大学も退職しました。

法学における白羽氏の学説は、マルクス主義法学の立場を明確にしている点が特徴です。この視点から、民法、特に契約法や担保物権法といった分野を分析し、独自の理論を展開しました。

多数の著作を執筆しており、その多くが専門分野である民法に関連するものです。主な著書には以下のようなものがあります。

『担保物権法』（駿河台出版社、1969年）
『担保物権法要論』（駿河台出版社、1977年）
山田卓生氏との共著『担保物権』（有斐閣、1980年）
『現代契約法の理論』（中央大学出版部、1982年）- 博士論文を基にした著作と考えられます。
山田創一氏との共著『民法総則講義』（駿河台出版社、1989年 初版、2012年 第4版）
山田創一氏との共著『物権法講義』（駿河台出版社、2001年 初版、2009年 第2版）
* 山田創一氏との共著『債権総論講義』（駿河台出版社、2001年 初版、2013年 第5版）

これらの著作は、多くの法学研究者や学生にとって重要な文献となっています。特に、山田創一氏との共著による「民法総則講義」「物権法講義」「債権総論講義」は版を重ねており、後進の育成にも大きな影響を与えたことがうかがえます。

白羽氏の人物関係では、恩師として中島弘道氏の名前が挙げられます。また、山田創一氏は共同で著作を執筆するなど、白羽氏の門下生であったと考えられます。

白羽祐三氏は、法学者として深い学識を持ち、弁護士としても実務に携わり、さらに中央大学の要職を歴任するなど、多角的な活躍をされました。マルクス主義法学という独自の視点からの研究、多くの著作、そして後進の指導を通じて、日本の民法学の発展に寄与した功績は大きいと言えるでしょう。

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