白襷隊

白襷隊の歴史と戦闘

白襷隊（しろだすきたい）は、日露戦争における旅順攻囲戦で特別に編成された部隊であり、その名は夜襲時に味方を識別するためにかけられた白い襷に由来しています。この部隊は正式な名称ではなく、日露戦争後に付けられた呼称です。

結成の背景

1904年11月23日、大日本帝国陸軍第3軍は旅順要塞に対して第3回総攻撃の決定を下しました。この攻撃を成功させるために中村覚少将の提案を受けて特別予備隊が編成されたのです。この特別予備隊は、第3軍司令官乃木希典大将の指揮下で形成され、多くの参謀の反対意見を押し切っての決定でした。

特別予備隊の構成は以下の通りです。

• - 特別予備隊司令部: 中村覚少将（第1師団 歩兵第2旅団長）
• - 第1師団 混成連隊: 大久保直道中佐の指揮のもと、832名
• - 第7師団 歩兵第25連隊: 渡辺水哉大佐が指揮、1,565名（第3大隊は欠番）
• - 第9師団 歩兵第35連隊 第2大隊: 田中武雄大尉の指揮、345名
• - 第11師団 歩兵第12連隊 第1大隊: 児玉象一郎少佐の指揮、332名
• - 第9師団 第9工兵大隊からの1個小隊: 31名

合計で3,113名の兵士がこの特別予備隊に編成されました。

戦闘と損害

第3回総攻撃は11月26日の8時に砲撃を開始し、午後1時に歩兵部隊が突撃を開始しました。その後、特別予備隊は18時に前進を開始し、水師営から松樹山北西麓に進みました。当初は順調でしたが、地雷による混乱が生じ、白襷がロシア軍の照明によって目立ち、敵に発見されやすい状況に陥ってしまいました。結果として、特別予備隊は大きな被害を受けてしまいました。

中村少将を含む多くの指揮官が戦闘で重傷を負ったため、状況を察知した第3軍は翌日2時30分に退却を命じ、死傷者を収容しつつ後退しました。

特別予備隊の戦闘による損害は以下の通りでした。

• - 戦死者: 将校19名、下士兵卒53名の計72名
• - 戦傷者: 将校43名、下士兵卒763名の計806名
• - 行方不明者: 将校10名、下士兵卒498名の計508名

総計として、白襷隊は3,113名中1,386名が戦死、戦傷、あるいは行方不明となり、これは特別予備隊の約45%に当たる数字です。

その後の影響

白襷隊の戦闘における敗北の報告を受けた乃木希典大将は、攻撃の方針を変更し、203高地の攻略を命じる決断をします。この結果、白襷隊の戦術は後の戦争においての重要な教訓とされ、その戦術が第一次世界大戦における新たな戦闘戦略にも影響を与えたと考えられています。特に、エーリヒ・ルーデンドルフ将軍がیره用いた夜襲の戦術は、白襷隊の戦いから派生したものとされています。

参考文献

• - 桑原嶽『乃木希典と日露戦争の真実：司馬遼太郎の誤りを正す』（2019年）

このように、白襷隊は日露戦争の中で特異な役割を果たし、その作戦の教訓は今なお語り継がれています。

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