中村覚

中村覚の生涯と功績

中村覚（なかむら さとる、1854年3月18日 - 1925年1月29日）は、日本の陸軍軍人であり、華族の一員です。彼は陸軍大将にまで昇りつめ、従二位及び勲一等功二級男爵という栄誉を受けました。

幼少期と軍人への道

中村は彦根藩士である中村千太夫の二男として生まれました。中村はまず藩徒士として活動し、その後陸軍教導団に加わることになります。西南戦争に従軍した後、彼は日清戦争では東宮武官および侍従武官を務め、さらに日露戦争でもその軍事的才能を遺憾なく発揮しました。

日露戦争における活躍

日露戦争において、中村は特に旅順攻囲戦で「白襷隊」として知られる部隊を指揮しました。この部隊は、全員が夜間の味方識別のために白襷を着用したことから名付けられました。旅順攻略戦では、既に2回の総攻撃が行われたにもかかわらずまだ陥落しておらず、次の第3次総攻撃に大きな注目が寄せられました。
日露戦争の開始から中村の部隊は第3軍に編入され、南山の戦闘に参加した後、旅順攻略戦に合流します。そこでは中村が提案した奇襲攻撃が生かされることとなります。彼は非常に危険な作戦を実行するため、部下たちに「大勢の兵士が死んでいる。そろそろ上の者が死なないと申し訳が立たないではないか」と語ったと言われています。

奇襲攻撃は、午前8時から開始され、午後には歩兵部隊による突撃もなされましたが、通常攻撃では成果を上げることができませんでした。そして、夜間に白襷隊が奇襲を仕掛けましたが、途中で兵が地雷を踏み、その位置が露呈しました。これによりロシア軍からの集中砲火を浴び、2300人もの死者が出る厳しい戦いとなりました。この戦闘で中村も負傷し、内地に帰還することとなります。

軍歴と評価

中村の軍歴は、1872年の陸軍教導団入団から始まり、数々の位階や役職を歴任しました。明治24年には陸軍大学校に教官として勤務し、明治25年には皇太子・嘉仁親王の東宮武官を拝命。さらに明治38年には日露戦争に参加し、1875年の正八位から始まり、最終的には従二位に達します。勲章も多数受賞しており、功四級金鵄勲章や旭日大綬章などが含まれています。

家族と影響

中村は、彦根藩士の妹である外千代を妻に迎え、彼らの間には5人の息子と3人の娘が生まれました。彼の後を継いだ長男は鉄道省建設局長に、次男は陸軍大佐となり、さらに他の子供たちも各方面で活躍しています。また、中村は映画『二百三高地』や司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』にも取り上げられるなど、その生涯は日本の歴史に深く刻まれています。

最後の時

中村覚は1925年に亡くなり、多磨霊園に眠っています。その生涯を通じて、彼が日本陸軍の発展に多大な貢献をしたことを今なお評価する声は根強く残っています。

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