白雲楼ホテル

白雲楼ホテルの歴史と魅力

白雲楼ホテル（はくうんろうホテル）は、石川県金沢市の湯涌温泉にかつて存在した著名な温泉ホテルです。1932年（昭和7年）に桜井兵五郎によって開業され、70室を備え、当時は「東洋一のホテル」と称されるほどの豪華さを誇っていました。

その栄光の歴史

白雲楼ホテルは戦後、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）に保養施設として接収され、多くの著名人が訪れました。特に昭和天皇や元首相の吉田茂をはじめ、各界の著名人が足を運び、栄華を極める時期を迎えました。1946年には、金沢市に疎開していた画家の宮本三郎が、GHQの依頼によりホテル内の壁画を制作するなど、文化的な拠点ともなりました。

1997年には、その美しい建築が評価され、登録有形文化財に登録されましたが、経営的には難しい状況が続いていました。1998年、電気料金の滞納を理由に北陸電力が送電を停止したことで、ホテルは営業を早期に終了しました。同年、運営会社である日本観光が自己破産を申請し、2月には正式に倒産が発表されました。負債は莫大な192億円にのぼりました。

倒産後の変遷

倒産後の1999年からは、競売の計画が進められる中、最低売却価格が設定されましたが、入札者は現れませんでした。小倉商事が2005年に7391万円で落札しましたが、地域の要望を受けて土地利用に関する議論が続きました。

同年には、旧白雲楼ホテルの老朽化が明らかとなり、市は登録有形文化財の抹消を検討しました。2006年には金沢市議会が旧ホホテルの受け入れを決定し、登録抹消後には解体されることが決まりました。このようにして、一度は栄華を誇った白雲楼ホテルは徐々に姿を消していきました。

バラエティに富んだ建築

白雲楼ホテルは北欧・南欧・日本の様式が見事に融合した外観を持ち、本館の玄関はフランク・ロイド・ライトの設計によるものとされています。内部には、相川松瑞の大襖絵や宮本三郎の壁画が描かれた豪華なダイニングルームがありました。大浴場は日本照明学会最優秀賞を受賞するなど、細部に至るまで工夫が凝らされていました。

倒産後、かつての美しい建築は廃墟となり、独特の美的価値を持つ存在となりました。しかし、知名度が上がると共に、荒れ果てた場所には不法侵入者や自ら破壊を行う者たちが現れました。メンテナンス不足から自然に倒壊が進む中で、ついには保存の主旨も放棄され、解体へと至ったのです。

文化的影響とメディア

白雲楼ホテルは、アニメ『花咲くいろは』の舞台となる「喜翆荘」のモデルともされ、作品を訪れた観光客が当時の白雲楼ホテルの写真をパネルにして楽しむ姿も見られました。このように、歴史と魅力的な建築は、今でも多くの人々に語り継がれています。このような文化的根付きをもたらした白雲楼ホテルですが、その運命は栄光とともに終焉を迎えました。

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