白鳥央堂

白鳥 央堂（しらとり ひさたか）は、1987年に日本の静岡県静岡市で生まれた詩人です。その独自の感性と表現力で、現代詩壇において重要な位置を占めています。

白鳥氏の言葉への関心は、中学2年生の時にロックバンドを結成し、自ら曲作りに励んだ経験に端を発します。この活動を通じて、言葉が持つ力や可能性を深く意識するようになりました。高校時代に進むと、日本の詩人・劇作家である寺山修司の詩や、短い形式に凝縮された俳句の世界に触れ、強い感銘を受けます。これらの出会いが契機となり、彼は詩作を開始。自らの作品を「現代詩フォーラム」に投稿するなど、積極的に詩の世界との関わりを深めていきました。

大学は武蔵野大学文学部の日本語・日本文学科で学び、言葉や文学に関する専門的な知識と理解を深めました。大学在学中から詩作を続け、卒業後も創作活動に精力的に取り組んでいます。また、白鳥氏は個人的な創作活動に加えて、同人誌の刊行も行っています。大学時代の同期であり、後に小説家として活躍する矢部嵩氏と共に、二人で同人誌『clearstory』を立ち上げ、共同で作品を発表・頒布しています。

白鳥央堂の名が広く知られるようになったのは、2009年に権威ある第47回現代詩手帖賞を受賞したことが挙げられます。これは若手詩人の登竜門として知られる賞であり、彼の才能が詩壇によって認められた瞬間でした。この受賞を機に、彼の詩人としてのキャリアは本格的に始動します。

彼の最初の詩集は、2012年5月に思潮社から刊行された『晴れる空よりもうつくしいもの』です。この第一詩集は高い評価を獲得し、翌2013年には日本の現代詩壇における主要な文学賞である第18回中原中也賞と第63回H氏賞の候補に、立て続けにノミネートされました。これは、彼の初期の詩業が持つ瑞々しさや表現のオリジナリティが広く認められたことを明確に示す出来事でした。

続いて、2019年7月には書肆子午線より第二詩集『想像星座群』を刊行しました。この詩集もまた、その文学性が高く評価され、2020年2月には第25回中原中也賞の候補となりました。第一詩集、第二詩集ともに主要な詩の文学賞の候補となるという事実は、白鳥央堂が現代詩壇において継続的に高い評価を受け、重要な存在であることを物語っています。

詩集以外にも、白鳥氏は短歌という形式を用いた歌集も発表しています。2019年11月には、歌集『天窓』を刊行しました。これにより、詩というジャンルに留まらない、彼の幅広い表現への探求心が見て取れます。

また、彼の作品は単行本にまとまる以前から、様々な文芸誌やアンソロジーに掲載されてきました。特に、現代詩の重要な発表媒体である『現代詩手帖』（思潮社）や、文学・思想誌『ユリイカ』（青土社）には多くの詩作品が発表されており、「だれのこころにもない物語」や「雪を蹴上げる妹について」といった作品が掲載されています。2015年には『現代詩100周年』という記念碑的なアンソロジーにも作品が収録されました。その他、『子午線 原理・形態・批評』や『三田文学』といった雑誌にも作品を発表するなど、その活動の場は多岐にわたります。

詩作品だけでなく、エッセイや論考といった散文も執筆しています。2013年には、現代詩文庫として刊行された『中尾太一詩集』の巻末に、論考「「星の家から」小論」を寄稿し、詩人としての批評的な視点を示しました。また、『現代詩手帖』にも随筆「白く、小さな箱」を発表するなど、多様な筆致を見せています。

白鳥央堂は、中学時代の音楽体験から言葉への関心へと繋がり、高校での詩との決定的な出会いを経て、現代詩手帖賞受賞によってその才能が開花した詩人です。二度の主要詩集が中原中也賞やH氏賞の候補となったことからも明らかなように、現代詩壇において揺るぎない地位を確立しており、その作品は多くの読者や批評家から高く評価され続けています。詩集、歌集、そして様々な雑誌掲載作品を通じて、彼が紡ぎ出す言葉の世界は、常に新たな発見と感動を提供しています。

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