白鹿城

白鹿城：宍道湖畔に佇む尼子十旗の要衝

白鹿城は、現在の島根県松江市法吉町に位置していた日本の城郭です。宍道湖の北岸に築かれ、水運の要衝を掌握する戦略的拠点として、その名を歴史に刻みました。

概要

白鹿城は、尼子氏にとって重要な支城の一つであり、特に美保関や中海といった水上交通の要所を抑える役割を担っていました。その堅牢さは尼子氏の支城の中でも随一とされ、「尼子十旗」の筆頭に数えられたほどです。城主には松田氏が任命され、この地を統治していました。

永禄6年（1563年）、毛利氏が出雲国へ侵攻すると、その勢いに押され、一時的に松田氏は毛利氏に降伏します。しかし、処刑された本城氏の扱いを巡り、松田満久・誠保父子は毛利氏への不信感を募らせ、再び尼子氏の傘下に戻り、白鹿城を拠点として毛利氏に対抗しました。

これに対し、毛利氏は白鹿城への攻撃を開始。尼子倫久率いる援軍も敗退し、孤立無援となった白鹿城はついに開城。松田氏は没落し、白鹿城も廃城という結末を迎えました。

遺構

現在、白鹿城の遺構は一部不明瞭になっている箇所もありますが、郭や土塁といった防御施設の痕跡が城域の各所に見られます。また、毛利氏が攻城戦の際に石見銀山の鉱夫を動員し、城内の水を抜こうとしたとされる井戸の跡も残っています。これは、当時の攻城戦における技術や戦略の一端を物語る貴重な遺構と言えるでしょう。

城山の周辺は開発が進み、新興住宅地が近接していますが、わずかに残る遺構が、かつての激戦の地であったことを静かに伝えています。

沿革

白鹿城の築城年代は正確には分かっていません。しかし、戦国時代には尼子氏の重要な拠点として機能していたことが記録から明らかになっています。

永禄6年（1563年）に毛利氏の攻撃を受け、開城・廃城となりました。その短い歴史の中で、白鹿城は尼子氏と毛利氏の興亡を左右する重要な舞台となったのです。

関連事項

尼子十旗：尼子氏を支えた重要な10の城。
松田誠保：白鹿城主。
日本の城一覧

外部リンク

尼子氏を巡る攻防の城砦群
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