中海

中海について

中海（なかうみ）は、島根県松江市と安来市、および鳥取県境港市と米子市にまたがる湖で、下記の特徴を持つ重要な水域です。この湖は、日本海に開いた湾の入口が砂州によって閉じられたことで形成された潟湖であり、斐伊川の本流が一部を占めています。東側は境水道を通じて日本海の美保湾と接し、そして西側は大橋川を通じて宍道湖と繋がっており、日本国内では数少ない連結汽水湖の一つです。

地理

中海は島根県の東部および鳥取県の西部に位置し、弓ヶ浜半島と島根半島に挟まれています。湖の面積は日本で5番目に広く、2024年に国土地理院によって最大深度は17.1メートルから18.4メートルに改訂されました。これは1960年代から70年代の干拓事業によって造られた人工的に深い部分です。水質については、海水の約50%の塩分を含む汽水湖で、ヤマトシジミなどの生物が生息し、海水魚と淡水魚が共存する生態系が形成されています。

中海には松江市八束町に位置する江島と大根島、安来市の亀島などの島もあり、江島大橋によって境港市と結ばれています。安来港や米子港が内陸の港湾として利用されている他、崎津漁港や馬渡漁港といった漁港も存在します。

生態系

この湖では、汽水域特有の生態系が広がっています。淡水性と海水性の生物が同時に生息でき、特に約75,000羽のガンやカモ類が冬季に飛来します。これにより、1974年には国指定の中海鳥獣保護区が設立され、特別保護地区も設定されています。その面積は8,724ヘクタールで、多様な生物が観察可能な重要な生息地であることが評価されています。

中海では、さまざまな甲殻類が確認されており、少なくとも160種以上が生息していることがわかっています。

利用と観光

中海は周辺の宍道湖とともに漁業活動が行われており、1950年代には特にアカガイの漁獲量が豊富でした。しかし、現在ではシジミやスズキなどの漁業が主流となり、漁獲量は300 - 400トン程度に留まっています。米子水鳥公園や白鳥海岸などはバードウォッチングスポットとして人気があり、夏から秋にはウィンドサーフィンや水上スキー、釣りなどのレクリエーション活動が盛んです。また、中海・宍道湖レガッタや米子市民レガッタといったイベントも定期的に開催されています。

歴史

中海の形成は約7000年前の縄文時代にさかのぼります。この時期、古中海湾として知られる水域が生まれ、やがて古宍道湾と繋がるようになりました。古中海は次第に砂の堆積などにより潟湖へと変貌しました。平安時代から江戸時代にかけて、土砂の堆積によって中海の形状が変わり続け、特にたたら製鉄による影響が大きかったと言われています。

明治時代に入ると、アカガイの養殖が始まり、特産物として発展しましたが、赤潮の発生などにより漁業に影響が及ぶようになりました。

2000年代に入ってからは、中海の環境再生を目指すプロジェクトが実施されており、地域の持続可能な発展に向けた取り組みが続けられています。2000年の地震や高潮被害を受け、治水対策が講じられており、現在も環境保全とともに観光資源としての価値が重視されています。

このように中海は地理的・生態的に重要な役割を果たし続け、多様性あふれる地域社会の形成に寄与しています。

もう一度検索