百美新詠図伝

百美新詠図伝（ひゃくびしんえいずでん）

概要

『百美新詠図伝』は、清代の乾隆57年（1792年）に出版された女性に関する伝記集です。全4巻から構成されており、著者は顔希源、絵は王翽、詩は袁枚が手掛けています。この作品は、古代から明代までの美しい女性たち、合計100名の肖像画とその逸話を漢詩で表現したものであり、中国文学および歴史の中で極めて重要な位置を占めています。特に建立された時期を考慮すると、この作品は中国における女性史を視覚的に表現した初めての試みであり、以後の婦女文学に多大な影響を与えました。

作品の背景

『百美新詠図伝』は、「百美人説」として知られる、特定の女性たちが次々と紹介される形式を採用しています。作品内に登場する女性は、全体を年代別に並べるものの、特定の順序が設けられているわけではありません。実際、その多くは明末から清初にかけての女性たちで、女帝や后妃、公主、宮人、貴族女性、名妓及び神話上の存在までが幅広く取り上げられています。

構成と内容

具体的には、収められた女性たちの中には、女帝が1名、后妃が30名、公主が3名、宮人が12名、貴族女性が18名、貴族の妾が10名、名妓が18名、女仙が8名含まれています。これらの女性たちは、単なる実在の人物のみならず、文学や神話に由来する者たちも含まれているため、実際の登場人数は103人にのぼります。作品中では、後妃から女仙にかけての順で女性たちが描かれ、さらに各々の詩は対句で構成され、調和の取れた美しさを持っています。

文化的影響

『百美新詠図伝』の影響は広範囲にわたります。この作品を基にした画集や人物画が数多く制作され、さらには魯迅のような文人にとっても愛読されたと伝えられています。また、清中後期に活躍した改琦や呉友如といった他の作家たちも、百美人を題材にした作品を残しており、これにより『百美新詠図伝』が与えた影響の大きさがうかがえます。

結論

このように、『百美新詠図伝』は、その『百美人』を通じて中国の女性たちが持つ美しさと影響力を視覚化し、文学と芸術に新たな風を吹き込んだ重要な作品です。その歴史的背景と文化的意義から、現在もなお多くの人々に親しまれ、愛され続けています。

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