袁枚

袁枚（えん ばい）について

袁枚は1716年3月25日、清代の中国に生まれ、1798年1月3日に亡くなった文人・詩人です。彼の字は子才、号は簡斎、また別名として随園老人も持っていました。彼は杭州市の銭塘県に生まれ、寧波府慈谿県を本貫としています。

略歴

袁枚は、早くからその才能を示し、12歳で生員となり、1738年には挙人、さらに翌年には進士となります。その後、翰林院に在籍し公務に就きましたが、若さゆえの不安や周囲の妬みから地方の職にしか任されず、溧水県令や江浦、沭陽など、各地を転々としました。しかし、38歳の時に官職を辞し、その後は生涯にわたり職に就くことはありませんでした。彼は、江寧での勤務時に購入した庭園「随園」で隠遁生活を送り、読書や執筆、美食を楽しむ日々を送りました。

文学活動

袁枚が持つ高潔で風雅な詩風は、彼の名声を高めました。多くの人々が彼に入門を希望し、また詩文の依頼に訪れるようになったため、彼は金銭的にも困窮することはありませんでした。詩に対する彼の見解は、「性霊説」として知られ、詩人自身の性情が自由に表現されることを重視しました。この考えは、彼が著した『随園詩話』に詳述されています。

女性文学への影響

袁枚はまた婦女文学を提唱し、多くの女性弟子に詩を教えました。彼が編纂した『女弟子詩選』は、その活動の一環として知られていますが、これに対しては当時の社会が男女の礼法を乱すものとし、彼を放蕩の詩人として非難しました。

食文化への貢献

食通としても名高い袁枚は、料理に対する深い知識を有し、その探求は『随園食単』というレシピ集にまとめられています。この著作には、彼が経験した中華料理の技法や各地から集めた食材が詳しく記されています。また、彼の持つ怪異談への造詣も深く、これを纏めた著作『子不語』も広く知られています。これらの作品は、彼の多面的な才能を示す重要な文献となっています。

参考文献

• - 青木正児訳註 『随園食単』、岩波書店
• - 前野直彬訳 『閲微草堂筆記（抄） 子不語（抄） 他』、平凡社
• - 黒田真美子 編著・福田素子 著・竹田晃 編 『閲微草堂筆記・子不語・続子不語』、明治書院

袁枚の影響は、その詩や作品を通じて、現在でも語り継がれています。彼の思想や文学、そして美食への情熱は、今なお多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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