盛岡山車

盛岡山車（もりおかだし）とは

盛岡山車は、岩手県盛岡市で毎年9月に行われる盛岡八幡宮例大祭（通称：盛岡秋まつり）で運行される、絢爛豪華な人形山車です。この山車は、単に盛岡市だけでなく、岩手県各地で見られる人形山車の総称としても用いられます。

特徴

盛岡山車の最大の特徴は、その精巧な人形と独特の装飾です。山車は木製の大八車を土台とし、歌舞伎や歴史上の名場面、神話などをテーマにした人形が飾られます。山車の最下部には、波の絵で海を表現し、その上に「立岩」と呼ばれる岩を配置、さらにその上に人形を乗せます。装飾には、紅白の牡丹や桜、紅葉などの造花、そして常緑の松や藤の花が使われます。

山車は進行方向から見て表側を「風流」、裏側を「見返し」と呼びます。「風流」では、歌舞伎の勇壮な場面などを男性的に表現し、「見返し」では、女性的な美しさや、歌舞伎舞踊などを優美に表現します。

太鼓は、山車前方に小太鼓、後方に大太鼓が配置され、山車に乗りながら演奏します。また、「門付け」と呼ばれる、寄付をした家や店先で山車を止め、「音頭上げ」を唄う習慣があります。この音頭上げは、山車の演題の由来や、自分たちの団体を誇る内容、家柄を称えるもの、商売繁盛を願うものなど、多岐にわたります。

歴史

盛岡山車の起源は、1709年（宝永6年）に盛岡藩の街づくり完成を祝って、各町が趣向を凝らした丁印（ちょうじるし）を八幡宮に奉納したことに始まるとされています。当時は、旗印や英雄などを飾り、山車の高さを競い合ったと伝えられています。しかし、あまりの高さに盛岡城の門をくぐれない山車もあったそうです。また、当時は飾りが毎年同じで、見返しもなかったと考えられています。

明治時代に入ると、山車の運営が藩から町火消しへと移管され、盛岡八幡宮の例大祭として定着しました。1884年（明治17年）の大火で丁印の多くが焼失したことを機に、絵紙が普及し、丁印は廃止されました。明治後期には、電線の普及により山車の背丈が低くなり、鯛や蛸、だるまなどの縁起物を張り子で飾るようになりました。

昭和に入ると、山車の作法は現在のような形に変化します。しかし、1936年（昭和11年）を最後に、戦争の影響で山車の製作は一時中断されました。戦後、1958年（昭和33年）に「盛岡山車推進会」が結成され、山車は再び動き始めます。

その後、盛岡山車は、国内だけでなく海外にも紹介され、その美しい姿は多くの人々を魅了してきました。2020年と2021年には、新型コロナウイルスの影響で通常開催が見送られましたが、2022年には3年ぶりに通常開催されました。

祭りの日程

盛岡山車の運行は、主に盛岡秋まつりの期間中に行われます。

12日: 音頭奉納祭
13日: 山車紙上パレード、山車試運転
14日: 八幡下りパレード、八幡上り・夜の八幡参り
15日: 大絵巻パレード
16日: 山車納め

祭りの期間中は、山車だけでなく、さんさ子供太鼓や宮崎神楽などの郷土芸能も披露されます。また、関連施設では山車の展示や、資料の公開も行われています。

その他の山車運行

盛岡秋まつり以外でも、盛岡山車は様々な機会に運行・製作されてきました。盛岡開府三百年祭や、神社での祭典、国内外のイベントなどでその姿を見ることができます。特に海外では、ディズニーランドやブラジル、フランスなど、多くの国で盛岡山車が運行され、日本の文化を伝える役割を担ってきました。

参加団体

盛岡山車の参加団体は、消防団が中心です。これは、江戸時代に南部藩の祭りとして運営されていた山車行事が、藩政の終わりに危機に瀕した際に、町方火消しが運営を引き継いだことに由来します。しかし、山車を出す団体は年によって異なり、毎年奉納する団体は少数です。

参加団体には、以下のようなものがあります。

消防団：第1分団から第19分団、南部火消し伝統保存会
同好会：城西組、の組、盛山会さ組

関連施設

盛岡山車をより深く知るためには、関連施設を訪れるのがおすすめです。

もりおか歴史文化館：明治時代の山車と現代の山車を展示。
盛岡山車資料館：盛岡観光コンベンション協会の山車などを展示。
岩鋳鉄器館：山車を1台展示。
* ホテル紫苑、プラザおでって、もりおか手作り村、gallery50、盛岡駅：ミニ山車を展示。

山車人形の貸し出し

盛岡市内の山車組は、他地域の祭典へ山車の人形を貸し出すこともあります。これは、盛岡山車の技術や文化を広める上で重要な役割を果たしています。

盛岡山車の魅力

盛岡山車は、その豪華な装飾や人形だけでなく、歴史と伝統が詰まった魅力的な祭りです。祭りの期間中は、山車の運行だけでなく、各町内での音頭上げや、関連施設での展示も楽しめます。ぜひ一度、盛岡山車の魅力を体感してみてください。

もう一度検索