目暮十三

目暮十三：名探偵コナンにおけるベテラン警部の深層

目暮十三警部は、青山剛昌原作の漫画『名探偵コナン』および関連メディアミックス作品に登場する架空の人物であり、警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係に所属する警部です。毛利小五郎の元上司にあたる彼は、警察関係者の中では最も古参かつ頻繁に登場する人物の一人であり、作品世界における警察組織の代表格として重要な役割を担っています。アニメ版では茶風林、実写版では西村雅彦や伊武雅刀といった実力派俳優が声を担当、または演じています。

人物像：愛妻家であり、頼りになる上司

年齢は不明ながら、41歳の中森警部と同期のベテラン警部である目暮。一人称は普段は「ワシ」、仕事中は「私」と使い分けます。ふくよかな体型は、中森警部から「目暮のタヌキ」と揶揄されることもありますが、その体型が窮地を救う場面も見られます。茶色のコートとソフト帽は彼のトレードマークであり、寝る際にも帽子を被っているのは、過去に負った傷を隠すため、というのが公式設定です。しかし、コナンは妻との馴れ初め話にからかわれたくないからではないかと推測しています。

彼は部下や同僚には毅然とした態度で接し、強い正義感と使命感を持って職務に当たっています。現場では冗談を飛ばすこともありますが、感情の起伏が激しい一面も持ち合わせています。推理力に秀でている描写は少ないものの、コナンの協力によって事件を解決に導くこともあります。一方で、誤認逮捕寸前まで捜査が行き詰まる場面も多く、部下に裏切り者がいることにも気づかないなど、抜けた部分も見受けられます。

自己中心的で他人を巻き込む犯罪者には厳しい言葉を投げかけますが、犯人の切実な動機に複雑な表情を見せることも。殺意のない過失致死や、理解しがたい動機を持つ犯人に対しては、優しく言葉をかけたり、呆れたりするなど、多面的な人物像が描かれています。

私生活では、妻のみどりさんとラブラブな姿を見せ、愛妻家の一面も。手作り弁当やサプライズプレゼントなど、愛情深い行動は彼の温かい人柄を物語っています。

ただし、銃の腕前はそれほど良くなく、機械類も苦手。携帯電話の操作にも苦労した経験があります。また、芸能や芸術にも疎く、アーティストの名前を間違えたり、名器であるストラディヴァリウスを知らなかったりと、意外な一面も見せています。歌唱力も低いようです。英語も自己紹介程度しか話せません。

彼の名前「十三」が明らかになったのは劇場版第2作目からで、それ以降は原作でも名乗るようになりました。ソフト帽をかぶっている理由については、少年探偵団には誤解されているようです。名前の由来は、フランスの推理小説作家ジュール・メグレからきています。ジョディ・スターリングからは、その推理力を評されてもいます。

『まじっく快斗』や『ルパン三世VS名探偵コナン』といった作品にもゲスト出演しており、ICPOの銭形警部とは友人関係であることが明らかになっています。小学館学習まんがシリーズ『名探偵コナン推理ファイル エジプトの謎』には、目暮警部と瓜二つのムハンマド警部が登場します。

コナンとの関係：信頼と皮肉が交錯する複雑な関係

コナンや少年探偵団の捜査への介入は比較的寛容であり、コナンの助言を信頼する場面も多いです。新一の推理力も高く評価しており、工藤優作とも親子二代に渡って協力関係にあります。コナンと新一が同一人物であることは知らず、コナンの推理力を「小学生にしては優秀」と認識しているようです。

小五郎については、刑事時代の苦労話や、多くの事件を迷宮入りさせたことなどから「疫病神」や「死神」と呼ぶこともありますが、捜査に行き詰まると「眠りの小五郎」に頼るなど、複雑な関係性が見て取れます。

妻との馴れ初め：運命的な出会い

目暮と妻・みどりさんの出会いは、目暮が刑事になったばかりの頃発生した「連続女子高生ひき逃げ事件」がきっかけでした。この事件で、みどりさんの友人が犠牲になっています。みどりは犯人を捕まえるため囮捜査に協力し、目暮は彼女の護衛を担当。犯人は二人を轢こうとしますが、目暮がナンバープレートを覚えていたことで犯人は逮捕されました。この事件で重傷を負った二人でしたが、それが結婚のきっかけとなりました。この経験が、目暮の刑事人生に大きな影響を与えていることが伺えます。

呼称

周囲からは、上司や同僚からは「目暮警部」と呼ばれ、毛利小五郎からは「目暮警部殿」、コナンからは「警部さん」などと呼ばれています。阿笠博士など、顔見知りで年下の人物には「君」付けで呼びますが、部下を呼び捨てにすることもあります。

もう一度検索