目黒天空庭園

目黒天空庭園：首都高が生んだ都市のオアシス

東京都目黒区大橋に位置する目黒天空庭園は、首都高速道路の大橋ジャンクションという特殊な構造物の屋上部分に整備された公立公園です。2013年3月30日に開園し、都市空間における新しい緑地の形を示しています。

特徴的な構造と緑の空間

この庭園の最も目を引く特徴は、その形状です。首都高速の3号渋谷線と中央環状線を結ぶ大橋ジャンクションは、高低差を克服するためにドーナツのようなループ状になっています。目黒天空庭園はこの構造をそのまま活かしており、地上約11メートルから始まり、最高地点は約35メートルに達します。全長約400メートルの遊歩道は、平均約6%の緩やかな勾配を描きながら上昇していきます。庭園内には芝生が広がり、約30種類もの樹木や花が植えられています。最も低い部分は、歩道橋を介して国道246号に接続しています。

造成の背景と都市のニーズ

大橋ジャンクションは、高架の渋谷線と地下の中央環状線を接続する必要がありましたが、限られた敷地内で大きな高低差を処理するという課題がありました。そこで、土地を有効に活用しつつ必要な高低差を確保するために、ループ状の構造が採用されました。庭園としての緑地化は、このジャンクション建設における環境対策の一環として計画されました。さらに、公園が少なく面積も狭い都心において、子どもたちが安全に遊べる広々とした場所が欲しいという地域住民の強い要望に応える形でもありました。

目黒区は、首都高速道路から敷地の占用使用許可を受け、都市公園法に基づく「立体都市公園」としてこの庭園を整備しました。これは、インフラ施設と一体となった公園整備の先駆的な事例と言えます。

利用しやすい施設

目黒天空庭園は、午前7時から午後9時まで開園しています。南側に設置されたエレベーターを利用すると、庭園がある3階にスムーズにアクセスできます。バリアフリー設計が採用されているため、車椅子やベビーカーを利用する方も安心して庭園内を散策することが可能です。

周辺環境と再開発

大橋ジャンクション周辺は「オーパス目黒大橋」と呼ばれる大規模な再開発エリアです。目黒天空庭園のほか、「オーパス夢ひろば」というフットサルコートやじゃぶじゃぶ池を備えた多目的広場、さらに高層マンション群（プリズムタワー、クロスエアタワー）などが整備されています。庭園の北側から西側にかけては国道246号が走り、南西側には目黒川が流れています。目黒川沿いには美しい桜並木があり、庭園が開園した2013年3月30日は、まさに桜が満開の時期でした。

屋上でのユニークな取り組み：ぶどう栽培

目黒天空庭園では、開園当初から屋上でのぶどう栽培という珍しい取り組みが行われています。栽培されているのは、赤ワイン用品種であるマスカット・ベーリーAです。収穫量は限られているため、山梨県甲州市のワイナリーで収穫されたぶどうも加えて醸造されており、年間約300本のオリジナルワインが製造されています。都市の屋上で生まれたワインは、この庭園のもう一つの魅力となっています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、東急田園都市線の池尻大橋駅から徒歩約5分と、駅からのアクセスも良好です。

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