目黒電波測器

株式会社目黒電波測器の歴史と変遷

株式会社目黒電波測器は、日本の電子計測器業界において、その歴史の中で幾多の変遷を経験した企業です。1944年、二村電機製作所と土橋電波測器が合併し、東京都目黒区に設立されたのが始まりです。当初は電子計測器関連の製造を手がけ、1951年からは本格的な電子計測器の製造を開始しました。米軍放出品に対抗し、国産計測器の生産に力を注ぎました。

オーディオブームと業績の浮き沈み

1970年代にはオーディオブームを背景に、関連企業からの需要が拡大し、フル操業が続くほどの盛況ぶりでした。しかし、1980年代に入るとオーディオブームは沈静化。目黒電波測器はオーディオ機器への依存からの脱却を図るため、ビデオ用計測器の開発に着手し、浜松に営業所を設置するなど、東海地域向けの営業を強化しました。しかし、オーディオ依存の体質はすぐに改善せず、1981年には経常損失を計上。経営再建のため、岩崎通信機の資本参加を受け入れました。岩崎通信機は役員派遣や販売協力などで支援を行いましたが、1983年には輸出オーディオメーカーのユニセフが岩崎通信機の保有株を譲り受け、目黒電波測器はユニセフのグループ企業となりました。同年、ユニセフは東証一部上場のオーディオメーカーであるクラウンも買収し、クラウングループが形成されました。クラウン傘下に入ったことで業績は急回復し、1984年には黒字を達成しました。この時期、業務拡大を目指して開発部門を再編し、海外への進出も開始しました。

二度の倒産と再建

1991年、パソコンシステム開発のNBCCが株式を取得し、目黒電波測器は再びオーナーが変わりました。NBCCは目黒電波測器との合併で上場を目指していましたが、不良在庫の発生により資金繰りが悪化、1992年に自己破産を申請しました。その影響で、目黒電波測器も2度目の不渡りを出し、倒産しました。全従業員が自宅待機を命じられ、労働組合が未払い賃金の支払いを求めて社屋を占拠する事態となりました。しかし、業務継続を望む一部の従業員が新会社「株式会社目黒電波測器」を設立し、事業を再開しました。当初は在庫製品の販売とメンテナンスが中心でしたが、1994年には新製品を投入し、2001年には売上高8億円を達成するまでに回復しました。

その後と吸収合併

新会社設立後、2005年には本社を川崎市幸区に移転するなど、事業の拡大を図りました。しかし、2016年4月1日に親会社である株式会社計測技術研究所に吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。

主要製品と事業所

目黒電波測器は、GPS信号発生器、FM多重信号発生器、オーディオアナライザ、ひずみ率計、スペクトラムアナライザなど、多岐にわたる電子計測器を製造していました。本社は神奈川県川崎市幸区にあり、大阪にも営業所を構えていました。海外では、シンガポール、マレーシア、中国に拠点を持ち、グローバルに事業を展開していました。

関連会社

株式会社計測技術研究所が関連会社でした。

株式会社目黒電波測器の教訓

目黒電波測器は、激動の時代を生き抜いた企業です。オーディオ業界の盛衰に翻弄されながらも、倒産と再建を繰り返し、自社の技術力で業界を牽引しました。その歴史は、企業が変化に対応することの重要性と、不屈の精神の尊さを教えてくれます。

目黒電波測器の製品は、現在も多くの技術者にとって貴重な存在であり、その技術は今もなお受け継がれています。

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