直接投資

直接投資の概要

直接投資とは、企業が株式を取得したり工場を建設したりして事業を展開することを目的とする投資の形態のことを指します。これは、配当や金利といったインカム・ゲイン、または売却益を狙った間接投資や証券投資とは異なる概念です。海外の企業に対して行われる対外直接投資は、外国の企業に対し持続的な権益取得を目指す投資です。日本においては、海外企業による日本企業への投資を対内直接投資、逆に日本企業が外国企業に行う投資を対外直接投資として区別することがありますが、通常はそれぞれ海外直接投資と対日直接投資とも呼ばれます。

定義と条件

IMF国際収支マニュアルでは、直接投資は親会社が投資先企業の株式の10%以上を所有する場合と定義されています。これには、株式の取得や貸付、債券保有、不動産の購入などが含まれ、M&Aや新法人設立での投資もこのカテゴリに該当します。

日本の法律、特に外国為替及び外国貿易法（外為法）においても、対内直接投資の条件が具体的に定義されています。たとえば、日本の上場会社や店頭公開会社の株式を親会社等の所有株式を含めて10%以上保有すること、または日本非上場会社の株式や持分を外国投資家以外から取得する場合などが該当します。

海外直接投資の意義

直接投資には、国境を越えて経営や技術が移転するため、両国の経済に与える影響が大きいのが特徴です。具体的な利点としては、製造業や流通業の新規投資が雇用創出につながったり、先進国から開発途上国への技術移転が期待できることが挙げられます。また、先進国の優れた経営手法が流入することも、現地の経済に好影響を与える要因となります。

さらに、直接投資によって国内で製造が可能になることで、輸出産業として発展することで経常収支の改善が見込まれます。経済学者の原田泰氏は、外資の役割が新興国の投資主導型成長において軽視できないと述べています。一方で、高い貯蓄が高い投資を生むという考え方が誤解を招くことも指摘されています。

日本と直接投資の動向

日本では対外直接投資が進む一方で、国内産業の空洞化が懸念される状況ともなっています。特に1980年代から1990年代にかけての貿易摩擦の時代には、欧米への製造業の直接投資を推進し、海外生産が増加する一方で、内部の雇用への影響が問題視されていました。最近も、日本企業がアメリカでの生産体制を確立したことが、日本への直接投資の形を変えています。

アメリカの自動車メーカーが困難に直面する一方で、日本メーカーが現地生産を強化していることで、日本への批判が減少していることも見逃せない点です。対外直接投資が増えると、国での生産や雇用が減少する傾向があることから、経済学者はその影響を警鐘する声を上げています。

グローバルな視点からの直接投資

国連の報告により、世界全体の直接投資は急増しており、例えば2006-2008年の受入れ総額は、1990-1992年の10倍以上に達しています。日本も対中投資や他国との関係強化に努めていますが、国によっては外国からの投資を如何に受け入れるかが経済発展の鍵ともなっています。

このように、直接投資は経済のグローバル化の中で非常に重要な位置を占めており、国際的な経済関係を築くための鍵となる要素であることは間違いありません。

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