相引川

相引川の概要と歴史

相引川（あいびきがわ）は、香川県高松市の東部を横切る相引川水系の本流で、全長5.01km、流域面積は11.6㎢を有する二級河川です。この川は独特な形状を持ち、屋島の南を取り囲みながら、東西に河口を持っていることで知られています。具体的には、西に新川の河口が、東に牟礼川の河口があり、最終的に瀬戸内海へと注ぎ込む形になります。

特異な地形と人々の暮らし

相引川は、四国本土と屋島を隔てる重要な水路としての役割を果たしています。川は大小合わせて13本の橋で本土と結ばれており、交通の要所としても機能しています。この川の北側には屋島が位置しており、法律上は高松市の一部として分類されていますが、海に囲まれた独特な環境を有しています。

相引川の両岸には、江戸時代に開発された塩田や干拓地が広がっていましたが、時代の流れとともに埋め立てられ、現在では市街地や住宅地として利用されています。しかし、相引川の周辺には、国が指定する史跡や天然記念物である屋島があり、その保護区は相引川の北側、そして海面の100メートル先まで広がっています。この地域は、自然環境と人々の生活が交錯する場所でもあります。

歴史的背景

相引川の歴史は深く、源平合戦の時代には本土と屋島は互いに隔てられていました。当初、潮が満ち引きする際には海水が川を覆っていたため、「相引の瀬」として知られていました。江戸時代初期の1600年から1640年にかけて、生駒氏の指導のもとで堤防が築かれ、屋島と本土が陸続きになりましたが、松平氏の治世下で再度水路が復元され、現在の相引川の形が整いました。

事実上、相引川は一部の歴史的記録にも登場し、『平家物語』には潮の状態によっては馬が渡れる干潟であることが記されており、地域の変遷を示しています。江戸時代の地図にも、屋島が海を隔てて描かれている様子が確認できます。

名称の由来と現状

相引川の名称は、川の両端が海につながっているため、満ち引きの際に川の水が東西両方向へと流れることが起源だとされます。また、屋島の戦いでの引き分けにちなんだ説もあるようです。現代の相引川は、自動防潮水門によって海水と遮断されており、実質的には淡水化されています。そのため現在では、コイやフナ、ナマズなどが生息し、干潮時には川から海へ向けて排水される様子が観測されます。

排水施設の設置

相引川流域では、1976年の台風17号による大雨以降、大きな水害が発生しなかったように、流域に排水施設が設置されました。これにより水害が抑制され、地域の安全性が高まりました。排水施設には高松市山下川雨水ポンプ施設や、相引東ポンプ場などが含まれ、合計で数か所に設置されています。これらは地域のインフラとして機能し、住民の生活を支えています。

相引川はその歴史と地理的特徴から、地域の重要な要素であり、これからもその魅力を伝え続けています。

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