相馬中村神社

相馬中村神社：歴史と伝統が息づく相馬の守り神

福島県相馬市中村に鎮座する相馬中村神社は、相馬氏の氏神様として、地域の人々から深く信仰されている神社です。別名妙見中村神社とも呼ばれ、略して中村神社と呼ばれることもあります。祭神は天之御中主神（妙見菩薩）で、相馬野馬追という勇壮な祭りの出陣式が行われる場所としても知られています。

創建から現代まで続く歴史

神社の起源は、相馬氏の祖である平将門が、承平年間（931年～937年）に下総国猿島郡に妙見社を建立したことに遡ると伝えられています。その後、相馬氏が相馬郡に移り住むのに伴い、この地にも社が建立されました。

戦国時代には、中村城が相馬氏の北の拠点となり、相馬盛胤や相馬隆胤といった武将が城主を務めました。関ヶ原の戦い後、相馬氏は一時改易されましたが、1611年に旧領へ復帰し、中村藩を立藩します。初代藩主である相馬利胤は、同年、中村城内に相馬氏の守護神である妙見社を建立しました。これが現在の相馬中村神社の始まりです。

現在の社殿は、寛永20年（1643年）、二代藩主相馬義胤によって建立されたもので、国の重要文化財に指定されています。荘厳な社殿は、江戸時代の建築技術の高さを示す貴重な遺構です。明治時代の廃仏毀釈によって本尊の妙見菩薩が廃棄された後、神社名は相馬中村神社と改称されました。

中村城本丸跡には、戊辰戦争後の1880年に相馬神社が建立されています。宮司職は初代田代信盛以来、田代家が世襲し、現在に至るまで29代に渡って受け継がれています。

現代に繋がる様々な出来事

境内には、かつては馬の飼育のための厩舎があり、中には中山大障害やカペラステークスで優勝した競走馬も繋養されていました。しかし、2019年頃に厩舎は解体され、現在は馬の飼育は行われていません。

神社には、1928年に建立されたコンクリート製の大鳥居がありましたが、2021年2月の福島県沖地震で損傷しました。その後、2021年12月には高さ7.4mのステンレス製の大鳥居が寄進され、新たな鳥居が建立されました。しかし、翌2022年3月にも地震が発生し、石灯篭の破損や橋の崩落などの被害がありました。歴史ある神社は、自然災害にも幾度となく直面しながら、その姿を現在に伝えています。

相馬中村神社と地域社会

相馬中村神社は、単なる神社としてだけでなく、地域社会において重要な役割を担ってきました。相馬野馬追の出陣式が行われる場所として、地域住民の精神的な支柱となっています。また、かつては競走馬の飼育も行われており、地域経済にも貢献していました。今後も、歴史と伝統を継承しながら、地域社会に貢献していくことが期待されています。

今後の展望

幾度となく地震に見舞われながらも、相馬中村神社は、地域住民の力強い支援を受けながら、その歴史と伝統を守り続けています。これからも、多くの参拝者を受け入れ、相馬の歴史と文化を伝える聖地として、その役割を果たしていくでしょう。

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