省

省についての考察

省（しょう）とは、国家の行政機関を指す用語であり、その起源は中国にあります。元々は、中国の漢代において宮中のことを「省」または「省中」と呼ばれていました。時が経つにつれて、魏や晋の時代には宮中に設置された官[[庁]]の名称として使用されるようになりました。特に唐代においては、律令制度の一環として尚書省、中書省、門下省の三つの省が設けられ、これらは三省六部と称されるようになりました。その後、宋代にもこの体制は引き継がれましたが、実際の機能は他の機関に移り、有名無実と化しました。

日本では、隋や唐の律令制度の影響を受け、701年の大宝律令によって律令制が確立されました。この制度の下では、太政官のもとに八省が設けられましたが、中国の三省に相当する機関は日本では「太政官」と呼ばれ、日本の省は中国の六部に該当するものでした。このように、日本の省は太政官の部局である左・右弁官局の管理下に置かれました。

ただし、これらの省は律令制の崩壊とともに機能を失いました。明治時代を迎えると、1869年に官制改革が行われ、再び「省」という形で復活を遂げました。1885年には内閣制度にも組み込まれ、現代の日本における省は内閣直属の最上位の中央行政機関を指すようになっています。

さらに、日本の「省」という名称は、中央行政機関の中で最上位の機関として一般的に広く用いられています。これは、アメリカの「department」やイギリスの「ministry」、フランスの「ministère」といった用語に対しても「省」という訳語が適用されています。日本での「経済産業省」などは、英語では「Ministry of Economy, Trade and Industry」となっており、ここでも「ministry」という訳語が使われています。

一方、中華人民共和[[国]]や中華民[[国]]では、行政機関の名称として「省」という用語は使用されず、「部」が使われています。また、ベトナムや大韓民国でも同様に「部」が採用されていますが、朝鮮民主主義人民共和国は「省」を用いています。

このように、行政における「省」は国によって異なる呼称や役割があり、その歴史的背景や制度の変遷を学ぶことは国際的な行政機関の理解を深めるために重要です。日本の省の仕組みや役割は、古代の中国の制度から受け継がれ、近代に至るまで様々な変遷を経てきたことがわかります。これらの知識を基に、現代の行政機関の在り方を考えることが求められています。

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