看板娘はさしおさえ

『看板娘はさしおさえ』は、鈴城芹による4コマ漫画作品。芳文社の『まんがタイムきららMAX』にて2004年12月号から2009年5月号まで連載されました。単行本は全4巻が刊行されています。

あらすじ

物語は、質屋『早潮質店』を舞台に、そこに集う人々を中心とした日常を描いた4コマ漫画です。基本的には季節が巡ってもキャラクターの年齢は変わりませんが、最終回とその後の書き下ろしエピローグでは、少しだけ成長した早潮家の姿を見ることができます。

登場人物

早潮家

早潮小絵（さしおさえ）:
早潮家の一人娘。小学一年生にして、早潮質店の看板娘として活躍中。日給50円で自主的に働いています。しかし、「さしおさえ」と書かれた名札が原因で、周囲からは「親の借金の差し押さえで働かされている」と誤解されることもしばしば。
幼い頃から祖母に経済観念を叩き込まれたため、しっかりとした守銭奴。頼りない父親の匡臣を戒めることもありますが、父親としては尊敬しています。服装は質素で、常に長いスカートを着用。これは祖母の影響です。また、黄色い服ばかり着ているのは、看板娘として目立つため。タンスの中は黄色い服で埋め尽くされています。

十世（とよ）:
早潮質店に差し押さえ品として持ち込まれた衣装行李に憑いている幽霊。その行李には、店に商売繁盛のご利益をもたらす守り神の力が宿っています。小絵の姉という設定で、賃金無料の店員として働いています。小絵とお揃いの「さしおとよ」という名札をつけるようになってからは、小絵が「差し押さえ」と誤解されることはなくなりました。

生前は1825年生まれの米問屋のお嬢様でしたが、10歳の時に火事で亡くなりました。自分の名前の漢字を知らぬまま亡くなったため、「十歳で世を去った」ことにちなんで「十世」と名乗っています。

衣装行李に入れた衣装を着た姿に変身できる特技を持っています。しかし、行李が服と認識しないものは効果がなく、下着に近いものは服の下に着る形になります。そのため、ビキニ姿などにはなれません。霊媒体質のため、店に持ち込まれた品に宿る霊に取り憑かれることもあります。守り神としての力をつけるにつれて、自在に見た目の年齢を変化させることができるようになりました。20代くらいの姿はかなりの巨乳であることが判明しています。

早潮桜子（さしおさくらこ）:
小絵の母親。電気機器メーカーで営業として働いていますが、普段から家にいることが多いです。しかし、営業成績は常に上位。除霊ができたり、巫女のアルバイト経験があったり、30歳にしてメイドカフェでアルバイトをしていたりと、謎多き人物です。十世に様々なコスプレをさせて楽しんでいます。

早潮匡臣（さしおまさおみ）:
小絵の父親で、早潮質店の店主。婿養子であるため、家の中では立場が弱い。お人好しな性格のため、商売人としては不向きですが、鑑定眼は確かで、贋物を見抜くことができます。玩具コレクターであり、古民具マニア。古民具を高値で買い取って小絵に叱られることもしばしば。新しいロボット玩具を買ってきては、十世と一緒に楽しんでいます。

早潮剛夫（さしおたけお）:
早潮質店の先代店主で、桜子の父親。さつきの攻撃にも耐えられる頑丈な体を持っています。匡臣と同様に古民具が好きで、それが原因でさつきから攻撃を受けることもあります。現在は経営から退き、さつきと共に田舎で暮らしています。

早潮さつき（さしおさつき）:
桜子の母親。攻撃力が非常に高く、鍬一本で熊や猪に勝ったり、素手で猿を追い払ったり、蹴りで土佐犬を昏倒させたりすることができます。独身時代には、早潮質店を襲った強盗を返り討ちにしたこともあります。現在は剛夫と共に田舎で農業を営んでいます。

その他の人々

東雲五十鈴（しののめいすず）:
小絵と同じ小学校に通う五年生。ティーン誌のモデルをしており、学校では有名人。母親の誕生日プレゼントを探していたところ、早潮質店でアクセサリーを見つけ、自分のブランド物のバッグを質に入れて購入したことから、早潮質店の常連客となりました。早潮家以外で十世が幽霊であることを知っている唯一の人物です。匡臣に鋭いツッコミを入れることも。

とみ:
生前の十世の姉。嫁いで子宝に恵まれ、77歳で亡くなりました。妹の豊が火事で亡くなった後も成仏できずにいることを知り、嫁入り道具の箪笥を目印に探しに来ていました。その箪笥が早潮質店に持ち込まれたことで、170年ぶりに十世と再会を果たしました。

書誌情報

第1巻 ISBN 4-8322-7570-4
第2巻 ISBN 978-4-8322-7617-8
第3巻 ISBN 978-4-8322-7689-5
第4巻 ISBN 978-4-8322-7798-4

また、2010年のコミックマーケットでは、続編となる同人誌『看板娘はさしおさえAfterDays』が販売されました。作者のホームページで全ページ閲覧可能です。

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