眞田芳憲

眞田 芳憲

眞田 芳憲（さなだ よしあき、1937年3月15日 - 2017年11月23日）は、日本の著名な法学者です。ローマ法、イスラム法、そして比較法文化論といった幅広い分野を専門とし、中央大学名誉教授として多大な功績を残しました。学位は法学博士。新潟県に生まれ、その学術的なキャリアの礎を築きました。氏の氏名は「真田芳憲」と表記されることもあります。

学問への道程と教育者としての足跡

新潟県で育った眞田氏は、中央大学法学部で学び、1959年に卒業しました。同大学では、特にローマ法の権威であった矢田一男教授の薫陶を受け、この分野を深く探求しました。その後、研究対象をイスラーム法にまで広げ、比較法文化論の視点から両者を横断的に研究する道を歩み始めました。

大学院においては、1961年に中央大学大学院法学研究科修士課程を修了し、その後1964年まで博士課程に在籍しました。1964年には中央大学法学部の助手として教職のキャリアをスタートさせます。そして、師である矢田一男教授が急逝された後、1967年にその後任として同法学部の講師に就任し、西洋法制史などを担当しました。翌1968年には助教授へと昇任し、1974年には教授となりました。

大学および社会における貢献

中央大学において教授を務める傍ら、眞田氏は様々な要職を歴任し、大学運営にも深く関わりました。法学部通信教育部長、大学評議員、そして法学部長など、重要なポストでリーダーシップを発揮しました。また、日本比較法研究所所長としても、比較法研究の発展に貢献しました。

大学外においてもその活動は多岐にわたりました。（財）世界宗教者平和会議の平和研究所長を務めるなど、平和や宗教と法に関する分野でも識見を示しました。特に、法と文化の関係を探求する法文化学会の創設にあたり、1998年には初代の理事長として学会の発展に尽力しました。

長年にわたる教育と研究、そして社会への貢献が認められ、2015年11月には瑞宝中綬章を受章しました。

眞田氏の門下からは、森光中央大学教授や、元慶應義塾大学教授の奥田敦氏など、日本の法学界で活躍する多くの研究者が育っています。

主な著作と研究成果

眞田氏の多岐にわたる研究成果は、数多くの著書や訳書として結実しています。特にイスラーム法に関する著作が多く、日本における同分野の理解促進に大きく貢献しました。

以下に主要な著作の一部を挙げます。

『イスラーム法の精神』（中央大学出版部、1985年、2000年改訂増補版）
『イスラーム 法と国家とムスリムの責任』（中央大学出版部、1992年）
『法学入門』（中央大学出版部、1996年）
『イスラーム身分関係法』（松村明と共編、中央大学出版部、2000年）
『ローマ法の原理』（森光と共訳、中央大学出版部、2003年）
『日本人のためのイスラーム入門』（佼成出版社、2005年）
『生と死の法文化』（国際書院、2010年）
『大逆事件と禅僧内山愚童の抵抗』（佼成出版社、2018年）
* 『法令用語ア・ラ・カルト』（矢沢久純補訂、中央経済社、2023年）

これらの著作や、ローマ法、イスラーム法、比較法文化論といった分野での長年の研究活動を通じて、眞田芳憲氏は日本の法学界に確かな足跡を残しました。2017年に逝去されるまで、その学問的探求心は衰えることがありませんでした。

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