眞鍋勝已

眞鍋勝已：投手から審判員へ、プロ野球界に刻まれた足跡

1968年7月25日、岡山県倉敷市生まれの眞鍋勝已氏は、数奇な運命を辿り、プロ野球界に大きな足跡を残した人物です。選手としては阪神タイガースで短くも華々しい、そして物足りないキャリアを送り、その後は審判員として2000試合以上ものキャリアを積み重ねました。投手として入団したものの、一軍の舞台に立つことなく、外野手への転向を経て現役を引退。しかし、その野球人生はここで終わらなかったのです。

阪神タイガース時代：夢半ばで幕を閉じる投手人生

関西高校から1986年、阪神タイガースにドラフト6位で投手として入団。入団当初は背番号57を背負い、秋季巨人とのオープン戦では好投を見せるなど、将来を嘱望されました。その後、背番号を20に変更するなど期待の高さが窺えます。1988年にはアメリカ1Aリーグのフレズノ・サンズへ野球留学するなど、着実にキャリアを積んでいましたが、一軍出場は叶わず、1989年には背番号を55に変更。更に肩の故障により1991年には外野手に転向するも、同年限りで現役を引退しました。一軍での活躍を見ることなく、選手としての夢は閉ざされました。

審判員への転身：華麗なるセカンドキャリア

現役引退後、セントラル・リーグの関西審判部に入局し、審判員としてのキャリアをスタートさせます。1992年から36番の審判員袖番号を付け、新採用審判に専用の袖番号が与えられるようになってから関西審判部で最も長く審判を務めるベテランとなりました。

2022年シーズン終了時点で、実に2681試合もの公式戦に出場。4度のオールスターゲーム、そして8度の日本シリーズを経験しました。その中には、球審を務めた試合も数多く含まれており、日本シリーズにおいては、2005年、2008年、2009年、そして2011年の第3戦で球審を務めたことが記録に残っています。

数々のエピソード：記憶に残る判定と衝突

眞鍋氏の審判人生は、数々のエピソードに彩られています。2000年、阪神対横浜戦では、野村監督と小競り合いになったり、2000年の阪神対巨人戦では、大豊泰昭選手との衝突、退場処分といった出来事がありました。2006年には、広島対中日戦でロマノ投手とブラウン監督を退場処分にするなど、強気の判定で知られていました。また、2007年のタイロン・ウッズ選手との衝突、落合監督の批判など、その判定をめぐっては様々な議論を巻き起こしました。2010年には、ラジオ中継の実況アナウンサーと解説者から判定の正確性について指摘されたり、2012年には、自身のプロテクターに当たった球をものともせず審判を続行したことも話題となりました。

これらのエピソードは、眞鍋氏の厳格さと同時に、その人間味あふれる一面を垣間見せてくれます。

審判員としての功績と進化

2013年にはクルーチーフに昇任。WBCにも派遣され、国際舞台でも活躍しました。2015年には通算2000試合出場を達成、そして2021年には通算2500試合出場を達成するなど、NPB審判員として類まれなキャリアを築き上げました。

さらに、眞鍋氏はストライクコールにも独自のスタイルを持っていました。2014年シーズンからは、6回表裏限定で見逃しストライクコール時に独特の腕の動きを加え、2024年シーズンからは見逃し三振のコールにも新しいスタイルを取り入れるなど、常に進化を遂げていました。2017年には、菊池雄星投手の投球モーションをボークと判定したことが、ボーク判定の見直しにつながるきっかけとなりました。

2022年シーズンからはサブクルーチーフ、2023年シーズンからは一般審判員に。2024年シーズンからは関西統括ディレクターという新たな役職に就き、審判界に貢献し続けています。

眞鍋勝已氏の審判人生は、まさにドラマチックな物語です。選手としては成功を収められなかったものの、審判員として華々しいキャリアを築き、数々の伝説を残しました。その厳格さと人間味あふれる姿勢、そして常に進化を続ける姿勢は、多くの野球ファンに記憶され続けているのです。新庄剛志監督による試合開始前のハイタッチにも協力的だったというエピソードからも、その人柄が伺えます。

彼のキャリアは、プロ野球界における審判員の役割の重要性を改めて認識させてくれる、貴重なものです。そして、彼の功績は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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