真宗

真宗

「真宗」という語は、文脈によって二つの異なる意味で用いられます。一つは日本の仏教における宗派の名称として、もう一つは東アジアの歴史上の君主に与えられた称号としてです。

日本の仏教宗派（しんしゅう）

日本語で「しんしゅう」と読む「真宗」は、一般的に浄土真宗（じょうどしんしゅう）の別称として用いられます。浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞聖人（しんらんしょうにん）によって開かれた、日本の仏教における主要な宗派の一つです。阿弥陀如来（あみだにょらい）の本願を拠り所とし、念仏を唱えることによって誰もが平等に浄土に往生できるという教えを説いています。宗派内や日常的な場面では、「浄土真宗」を省略して「真宗」と呼ぶことがよくあります。

東アジアの君主の廟号（しんそう）

「しんそう」と読む「真宗」は、主に中国やその影響を受けた東アジアの国々において、皇帝や王などの君主が崩御した後に贈られる廟号（びょうごう）の一つです。廟号は、その君主を宗廟（そうびょう）に祀る際に用いる称号であり、生前の治績や徳行に基づいて選ばれるのが通例でした。歴代の君主は、この廟号や諡号（しごう）によって区別され、後世に伝えられます。「真宗」という廟号は、複数の王朝や時代の君主に贈られた例があります。

具体的な用例

「真宗」という廟号が与えられた君主としては、以下のような人物が歴史上に存在します。

宋（そう）の真宗
中国の北宋王朝における第3代皇帝である趙恒（ちょうこう）が、崩御後に「真宗」の廟号を贈られました。彼は997年から1022年まで皇帝の位にありました。その治世は比較的安定しており、「咸平の治（かんぺいのち）」と呼ばれ、文化的な発展も見られました。対外的には契丹（きったん）との間に「澶淵の盟（せんえんのめい）」を結んでいます。

後黎朝（こうれいちょう）大越（だいえつ）の真宗
ベトナムの後黎朝（こうれいちょう）大越（だいえつ）の君主である黎維祐（れい いう）もまた、「真宗」の廟号を持っています。彼は1643年から1649年まで君主として在位しました。

李氏朝鮮（りしちょうせん）の真宗
朝鮮王朝（李氏朝鮮）において「真宗」と呼ばれる人物は、第21代国王である英祖（えいそ）の長男である孝章世子（こうしょうせいし） 李緈（り こう）です。彼は1719年に生まれ、1728年に若くして亡くなりました。生前は国王には即位していませんが、後世に追尊（ついそん）されて国王の礼をもって祀られ、「真宗」の廟号が贈られました。

これらの例からわかるように、「真宗」という同じ廟号が、中国、ベトナム、朝鮮といった異なる国々で、しかも時代を超えて複数の君主に用いられました。これは、廟号がある程度共通の制度や概念に基づいて選定されていたことを示しています。

関連項目

同諡号廟号一覧

歴史上、同じ諡号や廟号を持つ人物は他にも多く存在します。「同諡号廟号一覧」などを参照することで、こうした称号の歴史的な背景や用例についてさらに理解を深めることができるでしょう。

「真宗」という言葉に出会った際には、それが日本の仏教に関連するものなのか、あるいは東アジア史上の君主を指すものなのか、文脈を注意深く見極めることが重要です。

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